2011 Fiscal Year Research-status Report
定性的・裁量的内容を重視したデザインガイドラインの策定過程と審査方法の調査と提案
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23560759
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
鶴田 佳子 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90223081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海道 清信 名城大学, 都市情報学部, 教授 (80278332)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 景観法 / デザインガイドライン / 審査方法 / 策定過程 / 定性的基準 / 裁量性 |
Research Abstract |
平成23年度実施計画「1.景観形成基準の内容把握と評価及びヒアリング予備調査」として、国土交通省ホームページに公開されている300団体の景観計画、景観形成基準、審査方法の概略をまとめるとともに、定性的・裁量的内容を重視している典型自治体として、2011年6月29日に埼玉県戸田市へのヒアリング調査を実施した。 その結果、景観計画を定めている多くの団体が、定性的基準を定めており、景観法を有効に運用していることが分かった。また、戸田市都市計画課へのヒアリング調査では、その審査過程において、(1)フロー図の公開(2)景観アドバイザーの設置(3)チェックシートの適用(4)景観審議会の設置(5)景観協定の活用などの取り組みが評価できたが、一方で、審査スタッフ、審査体制において、定性的基準の審査方法が不十分な状況も窺えた。 平成23年度実施計画「3.アメリカの諸都市におけるデザインガイドラインの内容および策定過程の把握」として、全米の人口50万人以上都市33のうち、デザインガイドラインの運用が先進的と考えられる西海岸の3州の5都市についてインターネット公開資料を元にその実態を把握した。さらに、サンフランシスコ市、サンノゼ市、ポートランド市の3都市については3月22日~4月1日の日程で現地自治体へのヒアリング調査を実施し、デザインガイドラインの策定過程やデザインガイドラインの適用地域、運用実態を把握した。 調査した5都市ともデザインガイドライン(全市対象および地区別)およびデザインレビューシステムが存在していたが、その内容は各都市によって差異があることが分かった。なお、この内容は日本建築学会大会学術講演会の梗概としてまとめ投稿し、24年9月に発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
戸田市へのヒアリング調査によって、全国で策定済みの300市町村の景観計画の分析を行うに当たり、審査方法を詳細に分析する必要が生じたため、とりまとめに多くの時間を要し、景観地区の分析ができなかった。 また、アメリカ諸都市のデザインガイドラインに関する調査については、当初、年度内に予定していた現地ヒアリング調査が他の業務との日程調整の関係で、3月下旬~4月上旬の年度またぎとなったため、研究代表者の旅費および調査にかかわるテープ起こしの経費等が23年度予算で執行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.23年度に収集した300団体の景観法の運用実態をさらに詳細に分析し、審査方法やその運用において、特徴的な自治体をピックアップし、典型自治体へのヒアリング調査・資料収集によって景観形成基準の策定過程および審査方法を調査し、景観形成基準の内容との関連性を考察する。また、景観形成基準適用物件の視察を行いその効果を検証する2.景観地区の建築物等の形態意匠の制限の策定過程および認定制度における審査方法をヒアリング調査・資料収集し、建築物等の形態匠の制限との関連性について考察する3.サンフランシスコ市とサンノゼ市について、デザインレビューが行われたプロジェクトを考察し、その効果を検証する。また、23年度にヒアリング調査を実施できなかったロスアンゼルス市、サンディエゴ市等他のアメリカ諸都市についてもヒアリングを継続して実施し、デザインレビュープロセスや審査体制を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・景観法の運用実態調査として典型都市へのヒアリング調査を実施するための国内旅費:60万円・アメリカ自治体へのデザインレビュープロセスや審査体制に関するヒアリング調査を実施するための海外調査旅費:90万(24年3月~4月実施済みを含む)・調査した内容をとりまとめる作業としての謝金:40万円(24年3月~4月実施済みヒアリング調査テープ起こし経費を含む)・研究成果の学会発表に関わる経費:10万円・消耗品費(印刷・紙等):10万円・デザインガイドラインに関する書籍:5万円
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