• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

森田慶一建築論の生成論的再構築

Research Project

Project/Area Number 23560763
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

田路 貴浩  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50287885)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2016-03-31
Keywords森田慶一 / ヴァレリー / エウパリノス / 制作論
Research Abstract

H23年度は研究の第1段階として「建築制作論」にとり組んだ。とくに、森田慶一が強い関心を寄せつづけたポール・ヴァレリーの「エウパリノス」を取りあげ、その整合的、体系的な解釈を試みた。ついで、森田の遺志をついで「エウパリノス」から建築制作論を構築した加藤邦男の所論を検討し、ヴァレリーの標準的な解釈と比較考察を行った。その結果、ヴァレリーは建築を含めた人工物を自然に対峙する精神の産物と見なしていたのに対し、加藤はそれとはまったく異なり、建築制作の究極的境地を自然のように制作することとしている点を指摘することができた。さらに、ヴァレリーが人間のあくなき世界改造意欲を「精神の濫用」と呼んで警告を発していた点が、加藤の制作論には抜け落ちていることも明らかにした。これらの成果は2011年12月3日に開催された私的研究会である「建築論研究会」(@京都大学 人間・環境学専攻)にて、3時間の発表をおこなった。また、2011年の年末からは、森田がヴァレリーとどのように出会ったのか、その契機について資料調査をはじめた。その結果、関西日仏学館で開催されたフランス現代詩に関して講義したロジェール・バレ、フランス留学から帰国し、京都帝国大学文科大学講師に就任した九鬼周造、この2人が森田をヴァレリーに導いたと推察されることがわかってきた。また、それ以前にル・コルビュジエの著作『近代建築名鑑』で「エウパリノス」の名前を目にした可能性があること、「エウパリノス」の理解には京都帝国大学の最初の美学担当教授である深田康算によるプラトンの芸術論の研究が大きく影響していることも明らかにした。この成果については、2012年3月5日に開催されたシンポジウム「近代建築史の最先端 第7回」(建築学会近代建築史小委員会主催 @建築会館、東京)で報告した。また、建築学会の近畿支部研究発表会および大会の発表論文として投稿した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初計画では、第1段階の研究成果を当該年度末にとりまとめ、論文投稿する予定であったが、学会発表の投稿にとどまった。その点で、計画よりやや遅延が生じている。「エウパリノス」から体系的制作論を抽出し、加藤邦男の解釈を批判的に検討するという研究計画は当該年度初めから順調に進行していた。ところが、2011年末に追加の資料調査を行ったところ、当初計画を中断し、この追加調査にもとづき、森田が「エウパリノス」に出会った経緯を解明する作業を優先させるのが妥当と判断した。そのため、予定していた研究の論文投稿に遅れが生じている。

Strategy for Future Research Activity

第1段階「建築制作論」については、上記の追加調査にもとづく研究成果をとりまとめ、2012年5月中に論文投稿する予定である。また、中断していた当初予定の研究については、9月末をめどに論文投稿したい。その後、平成24-25年度に予定していた第2段階の研究、「建築様相論」の調査研究を開始する。当初計画ではフランス人美学者スーリオを中心に研究を進める予定であったが、森田が訳出しているフランスの哲学者で詩人のギュイヨーの論考を出発点として、建築の使用の問題について、森田の考察を検討する。平成26-27年度予定の第3段階は、現在のところ当初予定どおりである。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年9月、フランスにて資料収集し、現地研究者と情報交換を行うため、海外渡航費を支出する。平成24年10月27日、東京大学にて研究会を開催し、関連分野の研究者2名に研究を発表していただく(詳細は決定済み)。発表者への謝金を支出する。平成24年11月、京都にて研究会を開催し、関連分野の研究者2名に研究を発表していただく(詳細は調整中)。発表者への謝金を支出する。その他、随時、参考図書を購入する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 森田慶一による近代建築の受容2012

    • Author(s)
      田路貴浩
    • Organizer
      日本建築学会 建築歴史・意匠委員会 近代建築史小委員会(招待講演)
    • Place of Presentation
      建築会館(東京都港区)
    • Year and Date
      2012年3月5日
  • [Presentation] ヴァレリー「エウパリノス」にみる制作の端緒2011

    • Author(s)
      田路貴浩
    • Organizer
      2011年度 日本建築学会 大会(関東)
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2011年8月24日
  • [Presentation] 森田慶一の初期の思想と作品─構立てと生命2011

    • Author(s)
      田路貴浩
    • Organizer
      2011年度 日本建築学会 近畿支部研究発表会
    • Place of Presentation
      大阪工業技術門学校
    • Year and Date
      2011年6月18日

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi