2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560763
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田路 貴浩 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50287885)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 森田慶一 / 建築論 / 分離派建築会 / 建築思潮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は一連の研究成果のまとめとして、森田慶一の建築論を日本近代建築思潮のなかに位置づけるために、分離派建築会発足までの建築思潮の通覧を試みた。とくに建築学会編『建築雑誌』とならび、日本で最初の民間建築雑誌として建築界をリードした『建築世界』を対象に、建築論・建築批評の収集を行った。その結果、第一次世界大戦後、言論界全般に「改造」思想やトルストイ思想の建築界への波及により、民衆の生活に依拠した新しい様式の「創造」が求められるようになることが明らかになった。また、分離派建築会メンバーの同級生であった阪東義三が分離派建築会に先んじて在学中より批評活動を始めており、生の哲学、トルストイ主義、国家社会主義などの当時の新思想に影響された建築論を著していることを指摘した。その成果は、日本建築学会近畿支部研究発表会(2016年6月)、日本建築学会大会(九州)(2016年8月)にて口頭発表を行う予定である。さらに日仏共同研究の推進のために、2016年3月にパリに出張し、高等研究実習院のニコラ・フィエヴェ教授、フランス国立科学研究センターのフィリップ・ボナン教授、国立パリ建築学校ラ・ヴィレット校のマルク・ブルディエ教授と研究打合せを行った。 また、「分離派100年研究会」を継続して開催し、周辺分野の研究者と研究交流をはかった。 ○第7回研究会:2015 年7 月5 日(日)、東京大学 本郷キャンパス 岡山理香(東京都市大学 准教授)「蔵田周忠―分離派の“分離派”として」、佐藤美弥(埼玉県立歴史と民俗の博物館 学芸員)「創宇社と分離派の距離について―山口文象を中心に」 ○第8回研究会:2015 年 9 月14 日(月)、京都大学 吉田キャンパス 杉山真魚(京都大学 助教)「分離派建築会とウィリアム・モリス」、江本弘(東京大学 後期博士課程)「ジョン・ラスキンとは誰か―思想史記述の方法としての受容史 」
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Research Products
(2 results)