2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560773
|
Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
大橋 竜太 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (40272364)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 歴史的建築物 / 保存 / 活用 / 安全 / 防災 / 制度 / 国際情報交換 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、アジア・オセアニア地域の歴史的建築物の活用の実情と防災対策について現地調査を実施する予定であった。しかし、スコットランドのグレイドAの登録文化財であるC.R.マッキントッシュの代表作グラズゴー美術学校が、2014年5月23日に火災にあったという情報を得たので、急遽、研究計画を練り直し、グラズゴー美術学校の火災に関する調査を実施した。 現地調査にあたり、以前から交流があったイングリッシュ・ヘリテイジのスティーヴ・エメリー氏と共同で調査を行うこととし、現場を見学するとともに、関係者から聞き取り調査を行った。われわれが調査を実施した11月の段階では、現状を保存した状態での各部局の調査が終了しつつあり、これから瓦礫等を撤去し、修理工事が始まろうとするところであった。消防、建物管理者、文化財関係者(建築、美術工芸品)のレヴューはすでに済んでいた。 火災に関しては、旧式の設備用の縦穴が延焼を拡大する要因となっており、その対応を検討すべきであったことは明白であった。また、グラズゴー美術学校は、マッキントッシュの図面、家具等、さまざまなコレクションを多数所蔵しており、これら多くが焼失してしまった反省のもと、建築物の中にある所蔵品のレスキュー方法に関して、検討が加えられていた。イングランドでは、イングリッシュ・ヘリテイジがすでに歴史的建築物内の美術工芸品のレスキュー法に関するマニュアルを作成していたが、スコットランドでは準備が十分ではなかった。 東日本大震災以降、わが国でも文化財防災に対する関心が高まり、さまざまな動きが始まっているが、これら総合的な文化財防災の一環として、今後、歴史的建築物の防災と美術工芸品の防災との共同研究が必要となることを示唆される結果となった。
|
Research Products
(3 results)