2011 Fiscal Year Research-status Report
限界集落の再生に関する実践研究-勝山市小原集落の景観整備とイベント活動を通して
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23560778
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
吉田 純一 福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多米 淑人 福井工業大学, 工学部, 講師 (60511920)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | a |
Research Abstract |
平成23年度の実績について日時を追って示せば、以下の通りである。 6月30日に赤兎山・大長山の開山式が登り口である小原集落で行われ、その式典に参加。それに伴ってワサビや山菜など小原特産品の即売も行い、地元の方や登山者との交流を図った。8月7日から28日の期間は、学生15人とともに小原集落に泊まり込み、古民家修復作業および集落景観整備作業を実施。古民家修復作業は、中間棟梁の指導を受けながら道場家住宅の外壁土壁の補修と南面下屋の取り付け、及び岩山家住宅の外壁板壁の補修作業を行った。壁土は平成21年度の北山家住宅修復の折に保管していたものを養生し直して再利用した。ちなみに土壁修復は平成18年度から実施している本活動で初めての試みであった。一方、景観整備事業としては旧畑や空き地の草刈り、坂道沿いの石垣の除草、整備を行った。古民家修復作業も集落景観整備の一環であることは言うまでもない。 11月8日から19日までの約2週間、勝山市がまちづくりの拠点として旧機業場を再生した「ゆめおーれ勝山」において、「小原古民家修復の軌跡」展を開催した。本年度まで6年間の活動内容と成果を約40枚のA1版パネルにまとめて展示、多くの来場者を得た。そして展示期間中の13日には日本建築学会北陸支部福井支所の協賛を得、同会場にて講演会「小原集落と古民家」(講師吉田)および本年度参加学生によるフリートーキングも行った。平成24年3月14日には本年度関わった学生たちの卒業を祝い、小原にて地元民と交流会が行われた。 以上のイベントおよび古民家修復・景観整備事業は、本年度当初に計画していたことで、本年度の活動はほぼ当初の計画通りに実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々の活動とともに地元民の積極的な活動や勝山市当局の支援もあって、小原集落の再生・活性化は着実に進展している。たとえば、平成9月10日~22日に「国際ワ―クショップ」が開催され、ベルギー・ポーランドなど海外の6人を含む10人の若者が小原に泊まり込み、稲刈りやはさかけ作業や草刈り体験および古民家修復作業を行った。また、10月9日・10日には文化庁・環境省中部地方環境事務所などの後援を得た「第4回シシ垣サミット」が勝山市内のを会場に開催されたが、そのイベントの一環として小原集落と村内に残るシシ垣の見学会が組み込まれ、全国から多くの見学者が小原を訪れた。さらに9月26日からの勝山市主催「夏休み農村ボランティア」事業には大阪府立大学生15人が参加。彼らは6日間に小原に泊まり込み、稲刈り・草刈りなどの農作業を体験、平成24年1月にはやはり同大学の学生13人が2泊3日の行程で除雪作業などを行い、雪国での生活を体験。彼らはこうしたイベント活動や地元民との交流を通して、限界集落が抱える課題や地域づくりについて考える貴重な体験をすることができた。 小原集落で行われた以上の各種イベントでは、我々がこれまでに修復した古民家が宿泊や休憩用に活用されていて、我々の当初の目的が十分に実践されている。また小原における各種イベントも、小原集落の再生、活性化策として当初から想定していたが、国内だけでなく、海外からの参加者もみられるようになったことは、当初は想定していなかった。つまり、現状においては小原集落の再生・活性化事業は、当初の予想を上回る成果を上げているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果ならびに今年度の活動の成果を踏まえながら、さらに古民家修復・集落景観整備作業を継続するとともに、イベント活動についても見直しや新企画を考案しながら、小原集落の再生、活性化に向けてより効果的な方策を探り、展開していく。そしてこの事業が、全国各地に存在する限界集落の再生・活性化対策のひとつの成功事例となることを目指していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度も平成23年度あるいはこれまでと同様に古民家修復および集落景観整備の2本柱の事業を継続する予定で、特に空き地や石垣の草刈り・整備など景観保全に重きを置いて作業を行いたいと考えている。イベント活動も同様に継続していくつもりであるが、本年度は新たな内容として、夏の夜に集落景観をライトアップもしくは「かがり火」で照らし出す「小原のあかり灯」展を企画中である。集落内の家々や坂道、石垣などをろうそくやかがり火で浮かび上がらせ、山肌に佇む独特な、幻想的な集落景観を多くの人に感じ取ってもらう企画である。日時はお盆と重なる8月中旬を予定、これまでも協力してもらっている勝山市やえちぜん鉄道(株)などの地元団体にも働きかけ、県内さらにすでに離村している旧小原村民にも参加を呼び掛けていきたいと考えている。詳細は現在検討中である。 今年度の研究費は、従来までの古民家修復や景観整備に関わるものに加えて、この新企画のイベントにも使途されることになる。
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Research Products
(2 results)