2011 Fiscal Year Research-status Report
冶金学的手法による熱電変換材料の組織制御と性能向上
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23560783
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
武田 雅敏 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (30293252)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 金属物性 / 半導体物性 / 物性実験 / 熱電変換材料 / 材料組織制御 |
Research Abstract |
冶金学的な手法により作製した特徴的な組織を有する材料に関して,その熱電特性に及ぼす組織の影響を明らかにすることが本研究の目的である.今年度は主にCoSi相の組織観察,Mg-SI系材料の組織制御について研究を行った.CoSi相に関しては,Co:Si=1:1の化学量論組成よりCoを若干多くした組成において,1300℃程度での加熱に引き続き急冷することで溶体化処理を行い,その後,800℃程度で熱処理を施すことで針状のCo2Si相が析出した組織を得ることができた.熱処理時間の増加に伴いゼーベック係数,電気伝導率は共に上昇する.全てのサンプルではないが,通常の焼結体に比べてゼーベック係数が大きくなるものがある.組織解析の第一段階としてEBSDによる母相(CoSi相)と析出相(Co2Si相)の方位関係について調査を試みた.EBSDにて析出相の検出には成功し,方位関係の定量化の可能性も見えてきたが,析出相が小さいため現状ではノイズの影響で定量化には至っていない.Mg-SI系に関しては,急冷法,一方向凝固法によりMg2Si-Siの共晶組織の作製を行った.いずれの方法でも数ミクロンサイズの共晶組織を得ることに成功した.それらの熱電特性の測定も行い,無ドープ試料では通常のMg2Siと同程度の性能を示すことを明らかにした.また,Fe等の遷移金属の影響でp型材料が得られることが明らかになった.通常のMg2Siはn型であり,性能の良いp型材料は熱電素子としての実用化に重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CoSi相についてはEBSDにて析出相の検出が可能なことを明らかにし,組織解析にとって重要な進捗であった.またMg-SI系に関しては共晶組織を得ることに成功し,さらにその熱電特性についても評価することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
CoSi相に関しては,SEM/EBSD,TEMにより母相と析出相の方位関係の解析を行い,特定の方位関係を持つ界面が熱電特性に及ぼす影響について考察する.また,粒界の影響を排除するために,粗大な結晶粒をもつ試料の作製に着手する.Mg-SI系に関しては,凝固条件による組織制御の可能性について調査するとともに,元素添加による熱電特性の変化を明らかにする.また,遷移金属元素によるp型材料実現の可能性につてもあわせて研究を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の主な使途は,試料作製に用いる材料やルツボ材料,試料調整に用いる研磨剤などである.H23年度は組織分析に予想より多くの時間を費やしたため,主に試料作製に予定していた予算の一部を次年度に使用する.
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