2013 Fiscal Year Annual Research Report
冶金学的手法による熱電変換材料の組織制御と性能向上
Project/Area Number |
23560783
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
武田 雅敏 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30293252)
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Keywords | 金属物性 / 半導体物性 / 物性実験 / 熱電変換材料 / 材料組織制御 |
Research Abstract |
冶金学的な手法により作成した特徴的な組織を有する材料に関して,その熱電特性に及ぼす組織の影響を明らかにすることが本研究の目的である.今年度は主にFeSi2-Si系材料について研究を行った. Fe-Si系化合物のうちSiリッチな化合物にFe2Si5(α相)とFeSi2(β相)がある.α相が金属相であるのに対しβ相は半導体相であり,熱電材料として着目されている.しかしβ相は1255K以下で存在する低温相であるため,低い温度で長時間(100時間程度)の熱処理を必要とする.一方,状態図によると高温相であるα相は1210K以下でβ相とSi相に相変態する.Si相も高い熱電特性を有することが知られており,本研究ではα相から相変態を利用して半導体相であるβ相とSi相の複合組織材料を作製した. 所定の組成になるよう秤量したFe,Siをアーク溶解してα相の母合金を作製した.その後,1173K, 1073Kにてそれぞれ熱処理を施し,相同定,組織観察,熱電特性評価を行った.1173Kでは,24時間までの熱処理では完全に相変態せずα相,β相,Si相が共存した組織となり,熱電特性も通常のβ相より低くなった.これは金属相であるα相が存在しているためである.一方1073Kでは4時間の熱処理でもほぼ完全に相変態が終了し,β相とSi相の複合組織が得られた.ゼーベック係数,電気伝導率ともに無添加のβ相と同程度であり,従来よりも格段に短時間で半導体相が得られることが明らかになった.また,Siは数百nmの微細な組織としてβ相中に析出しており,熱伝導率の低減も期待される.
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