2013 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡重畳プロセスを利用した欠陥誘発型の炭素系物質創製法に関する研究
Project/Area Number |
23560787
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
庭瀬 敬右 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (50198545)
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Keywords | ダイヤモンド / 黒鉛 / 衝撃圧縮 / 照射 / アモルファス / 変換 |
Research Abstract |
物質を高エネルギー粒子線照射や衝撃圧縮などの非平衡環境下に置くとその構造は大きく変化するが、そのような環境を重畳させることによって更なる変化の多様性と発展性を秘めている。一方、炭素系物質は、黒鉛やダイヤモンド、フラーレン、グラフェンなどの多様性を示す。本研究の目的は、炭素系物質の非平衡状態の重畳効果を用いた欠陥エンジニアリアリング研究を発展させることである。我々はこれまでに2.6 x 10 24 n m-2の照射量まで中性子照射した高配向性熱分解黒鉛(HOPG)を衝撃圧縮することによってアモルファスダイヤモンドに変換することを発見している。 今回、回収されたアモルファスダイヤモンド試料のTEMを用いたXES・EELS観察によって、そのバンドギャップがC60フラーレンを初期試料として生成されたアモルファスダイヤモンドと、ほぼ同じ4eVであることが示された。また、前回の約半分の照射量の1.4 x 10 24 n m-2の照射量まで中性子照射した高配向性熱分解黒鉛(HOPG)に対して46、51、54GPaの圧力で衝撃圧縮を行った。54GPaの衝撃圧縮後の回収試料は、透明なタイル状のものが観察された。ラマン分光法では、弱いダイヤモンドのピークがみられた。一方、51GPaの圧力では、透明な破片は得られたが、ダイヤピークは見られなかった。46GPaの試料では、透明化せず、黒鉛のG,Dピークがみられ、アモルファスダイヤへの変換は起こらなかった。これらの結果は、約半分の中性子照射量の黒鉛でも、アモルファスダイヤモンド変換が、ほぼ同様の条件で起こることを示している。一方、カーボンナノウォールを初期試料として用いた衝撃圧縮でも透明なタイルの生成が確認され、アモルファスダイヤモンドと超硬黒鉛の混在した構造であることが示唆された。
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