2013 Fiscal Year Annual Research Report
規則相Au4Mn合金における磁気分極の圧力効果と金原子の役割
Project/Area Number |
23560788
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
圓山 裕 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20181836)
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Keywords | 高圧物性 / 同型相転移 / 磁気・弾性効果 / Mnベース遍歴磁性体 / X線磁気円二色性 / 高温高圧下電気抵抗測定 |
Research Abstract |
Au4Mn規則合金における高圧下での相転移について以下の実験的研究を行った. (1)X線磁気円二色性(XMCD)及びX線回折(XRD)の実験をSPring-8及びKEK-PFでの共同利用実験として実施した.(2)高温及び低温での電気抵抗測定による相転移の温度及び圧力依存性を測定するために,電気抵抗測定装置を製作した.(3)Au4Mn合金の単結晶の育成に成功した. その結果,以下の研究成果が得られた. (1)XMCDではAu原子の磁気分極を,XRDでは格子定数の圧力変化を測定した.高圧下で起こる相転移は同型相転移(Isomorphic phase transition,結晶対称性は不変の相転移)であることが分かった.この相転移に伴う磁気・弾性効果について次の知見が得られた.10GPa付近で磁性の圧力効果が正から負に替わる.同時に弾性も堅くなる.Mn(3d)-Au(5d)混成による磁気相互作用が強く,これに因ってAu(5d)電子が分極し,遍歴強磁性が安定化する.高圧下ではAu原子の回転的変位が起こり,電子構造の変化を通して磁性と弾性に影響が及ぶと解釈される. (2)低温と高温での電気抵抗測定から,定圧下での相転移温度を求め,その圧力変化を追跡した.その結果,常圧から7GPaまでの範囲でキュリー温度に正の圧力効果が確認された.これは先行研究やXMCDの実験結果と整合している.また,低温・高圧下でのXRD及びXMCD実験と相補的な情報が得られた.キュリー温度及び同型相転移温度の圧力変化よりAu4Mn規則合金の相図を提案した.圧力効果が正のFerro-I相と負のFerro-II相が区別される. (3)Au4Mn合金の単結晶を育成できたことで,磁気異方性に関する議論を経て,薄膜あるいはナノ粒子の作製と磁性の評価を試みる.Mn基ホイスラー合金を作製して同型相転移の有無を検証する.
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Research Products
(2 results)