2012 Fiscal Year Research-status Report
蛍石型酸化物における酸素イオンフレンケル対の特異な挙動
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23560789
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Research Institution | Junshin Gakuen University |
Principal Investigator |
椎山 謙一 純真学園大学, 保健医療学部, 准教授 (30243900)
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Keywords | 分子動力学 / 格子欠陥 / イオン結晶 / セラミックス / 原子力エネルギー |
Research Abstract |
【目的】CeO2中の格子欠陥の生成や挙動を明らかにするために、分子動力学法を用いて以下の観点:(1)多数の酸素イオンフレンケル対存在下におけるフレンケル対挙動、(2)酸素イオン・セリウムイオンフレンケル対共存下におけるフレンケル対挙動、を中心に調べCeO2中の酸素イオンおよび酸素空孔の原子レベルでの挙動の理解を目指す。 【方法】CeO2中のフレンケル対に対する分子動力学計算では、ポテンシャルはバッキンガムポテンシャルにクーロンポテンシャルを加えたものを用い、統計集団は原子数・圧力・温度が一定のNPTアンサンブルを採用した。なお、温度は300-1200 K, 圧力は0.1 MPaとした。計算セルの大きさは、CeO2結晶の単位胞を1単位とした5×5×5の大きさを基本とした。 【結果】1.【多数の酸素イオンフレンケル対存在下におけるフレンケル対挙動】計算セルに酸素イオンフレンケル対を4対導入し分子動力学計算を行った。その結果、格子間酸素イオンが(111)面上の酸素イオン層間に集合した。 2.【酸素イオン・セリウムイオンフレンケル対共存下におけるフレンケル対挙動】 酸素イオンおよびセリウムイオンフレンケル対共存下における計算を行う前に、セリウムイオン単独存在下におけるセリウムイオンフレンケル対挙動に対する分子動力学計算を行った。セリウムイオンフレンケル対間の距離は、第1隣接から第7隣接までとした。計算の結果、第1および第3隣接ではセリウムイオン空孔あるいはセリウム格子間イオンは、<100>方向に移動してお互いに再結合した。これに対し、第2、第4、第5、第6および第7隣接では、計算時間の10psまで再結合しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画における、タスク1.【多数の酸素イオンフレンケル対存在下におけるフレンケル対挙動】の分子動力学計算において、計算セルに導入する酸素イオンフレンケル対の数を4対以上にするためには、計算セルの大きさをこれまでの5×5×5(単位胞を1とする)から7×7×7、さらに、最終的には10×10×10にする必要がある。そこで、7×7×7の計算セルで実際に計算を行ったところ、計算時間が予想をはるかに上回った。そのため、計画の遂行が遅れることになった。さらに、計算の一部は九州大学情報基盤センター所有の計算機を使う予定であったが、計算機の更新のために、計算機の使用期間が制限されることとなり、このことも計画の遂行が遅れる原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度における研究の遂行が遅れ気味であるため、次年度ではその遅れを取り戻し、計画されたタスクを予定通り遂行するようにする。すなわち、タスク1.多数の酸素イオンフレンケル対存在下におけるフレンケル対挙動、および、タスク2.酸素イオンおよびセリウムイオンフレンケル対共存下におけるフレンケル対挙動、を遂行する。また、今年度の遂行予定である、タスク3.不純物ドープCeO2中の酸素イオンフレンケル対挙動、タスク4.結果のまとめおよび研究の総括、を予定通り遂行する。 タスク1では、計算セルに導入する酸素イオンフレンケル対の数を最終的に32対とし、分子動力学計算を行う。 タスク2では、酸素イオンおよびセリウムイオンフレンケル対をそれぞれ1対、合計2対を計算セル中に同時に導入し、フレンケル対間の距離を第1隣接(距離:0.234 nm)から第7隣接(距離:0.966 nm)まで変化させてフレンケル対導入後の分子動力学計算を行う。 タスク3では、計算セル中に不純物(ガドリニウム)を導入した後に、酸素イオンフレンケル対をそれぞれ1対導入する。フレンケル対間の距離を第1隣接(距離:0.234 nm)から第7隣接(距離:0.966 nm)まで変化させてフレンケル対導入後の分子動力学計算を行う。 タスク4では、当年度までの分子動力学計算結果から、温度300-1200 KにおけるCeO2中のフレンケル対挙動を原子レベルで明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究を遂行するために、消耗品、国内旅費・外国旅費、謝金等、その他の研究経費を計上した。それらの使用計画を以下に示す。 【消耗品】DVD-Rは、計算データを長期保存するための媒体として使用する。 【国内旅費・外国旅費】成果発表のために、国内外において数回の学会等の発表を行うための旅費とする。 【謝金等】研究補助として、計算データの整理等を依頼した際の謝金として使用する。【その他】研究の一部遂行のために大型計算機を使用しなければならない。この使用料として計算機使用料とする。また、研究成果を発表するための学術論文への投稿料、さらに、本研究課題の成果報告書の印刷費として使用する。
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Research Products
(2 results)