2013 Fiscal Year Annual Research Report
種々の単位胞サイズを持つ金属間化合物のヒューム・ロザリー型相安定化機構の研究
Project/Area Number |
23560793
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Research Institution | Nagoya Industrial Science Research Institute |
Principal Investigator |
水谷 宇一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, その他部局等, 研究員 (00072679)
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Keywords | 金属物性 / 相安定化機構 / Hume-Rothery則 / 金属間化合物 / FLAPW |
Research Abstract |
周期律表の周期4に含まれるKからCuまでの11元素それぞれとAl, Znを組み合わせて得られる金属間化合物群について、1原子あたりの遍歴電子数e/aの決定と遍歴電子の干渉効果を調べた前年度の成果を受け継いで、本年度にはその延長で周期5に含まれるRbからAg及び周期6に含まれるCsからAuまでの合計22の元素とMg, Al, Zn, Cd, Inで形成する膨大な数の金属間化合物群についてそのe/aの決定と干渉条件を調査した.こうしてKからAuまでの合計33の元素が多価金属元素のマトリックスに固溶している場合のe/a値を求めることに成功した.その値は結晶構造、単位胞サイズなど元素の周りの環境によらず決まることを示した.この成果はPhilosophical Magazineに公表した. 2013年9月にはポーランドのKrakowで開かれた第12回準結晶国際会議に出席し、上記に述べた成果とともに単位胞に52個の原子を含むガンマ相合金群、熱電材料として知られているSkutterudite化合物群TMX3 (TM=Co, Ni, Rh, Ir, X=P, As, Sb)そして電荷移動が顕著なことで知られているZintl化合物群MX (M=Li , Na, X=Al, Ga, In, Tl)が構成元素の種類によらず、それぞれe/a=1.60, 4.34, 2.09と同じ電子濃度を持つことを示し、遷移金属元素を含む化合物群に対するHume-Rothery電子濃度則の成立とその理論的根拠を始めて明らかにした.また、この国際会議のポスターセッションで研究代表者は単位胞に680個の原子を含む2/1-2/1-2/1近似結晶Na27Au27Ga31のe/aの決定と干渉条件の抽出結果を報告した.このように巨大な単位胞をもつ2/1-2/1-2/1近似結晶に対して第一原理電子構造計算FLAPWを成功させたのは国の内外を問わず初めてである.この国際会議のProceedingsはActa Physica Polonica Aに掲載される予定である.
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Research Products
(8 results)