2011 Fiscal Year Research-status Report
金属/半導体界面における半導体欠陥構造とその周辺電位の直接観察
Project/Area Number |
23560795
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
加藤 丈晴 (財)ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (90399600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 竜視 (財)ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (50595725)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電子線ホログラフィー / ショットキー障壁 / 電位分布 / FIB |
Research Abstract |
金属電極/半導体界面のTEM観察用試料薄片化には異相界面の断面試料作製に最適なガリウム(Ga)イオンによる集束イオンビーム(FIB)法を用いるが、FIB法では、薄片化した試料の表面にダメージ層が形成さる。このダメージ層は、電子線ホログラフィーによる半導体内部の電位分布を評価する際、ノイズとなり、電位分布評価の定量性が失われる。本年度は、ニオブ(Nb)ドープのSrTiO3を半導体材料の対象とし、FIB法による試料作製で形成されるダメージ層についての知見を得るため、透過型電子顕微鏡(TEM)による高分解能観察と電子損失分光(EELS)により化学状態を評価した。さらにSrTiO3を電子線ホログラフィーにより評価を行うための観察条件について検討した。 NbドープSrTiO3を加速電圧40 kVのGaイオンビームにより試料厚さ100 nm程度まで薄片化し、最終的に加速電圧1 kVのGaイオンビームによりTEM試料に仕上げた。TEM試料端に3 nm程度のダメージ層が確認でき、ダメージ層はアモルファス相であった。EELS測定から、SrTiO3の格子縞が鮮明に観察される領域では、チタン(Ti)の価数が4価であり、本来の化学状態であった。しかしながら、Gaイオンによるダメージ領域ではTiの価数が3価に変化していた。この価数の変化はSrTiO3の電気的な性質にも影響を与えるため、可能な限りGaイオンビームによるダメージ層を軽減することが重要である。また、以上のように薄片化したSrTiO3を電子線ホログラフィーにより干渉縞を撮影したところ、加速電圧200kVでは干渉縞を得ることができなかったが、加速電圧300kVで極めて鮮明な干渉縞を得ることができた。SrTiO3の電子線ホログラフィーの評価には、加速電圧を300kVにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NbドープSrTiO3を対象に、集束イオンビーム法による試料作製に起こる構造変化および、電子線ホログラフィー観察に必要な条件を見出すことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
NbドープSrTiO3が主な対象材料であるが、他の半導体材料でも、集束イオンビーム法により形成されるダメージ層を取り除くための、加工条件を見出す。ダメージ層を取り除いた半導体材料について、ピエゾ駆動の電圧印加ホルダーにより電圧を印加し、電流-電圧測定とともに、電子線ホログラフィーを用いて、半導体内部の電位分布を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の研究費は当初計画に沿って使用する予定である。
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