2013 Fiscal Year Annual Research Report
遠赤外領域の電磁波を用いた非平衡加熱による透明セラミックシンチレーターの開発
Project/Area Number |
23560796
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
北浦 守 山形大学, 理学部, 准教授 (60300571)
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Keywords | シンチレーター / 透明セラミックス |
Research Abstract |
本研究では,高出力ミリ波・サブミリ波を用いた電磁波加熱によりPr3+イオンをドープしたLu3Al5O12(Pr:LuAG)セラミックシンチレーターを開発する。遠赤外光を用いた加熱では,結晶全体をムラなく急速に加熱できるので,発光イオンが拡散して結晶粒界に到達する前に緻密化を終えることができる。そのため,結晶粒界で偏析しないように高濃度の発光イオンを添加できるので、単結晶を凌駕する発光出力がセラミックシンチレーターにおいて期待できる。母体LuAGは透明セラミックが得られやすい立方晶である。従って、Pr3+:LuAGは電磁波加熱による透明セラミックシンチレーターの作製法を確立するために最適な物質である。昨年度は原料の一部に酸化ルテチウムを使ってグリーン体の作製条件を最適化してきたが非常に高価であるために,グリーン体の作製には限りがあった。そこで,一昨年度途中から母体結晶をLuAGからY3Al5O12(YAG)に変えて作製条件の最適化を行ってきた。28GHzの高出力ミリ波焼結装置を使った焼結試験を行い,作製方法,発熱試験,焼結温度,焼結時間,を検討してきた。試料表面の温度が1650度に達した後,わずか30分間焼結することによって結晶に対する相対焼結密度が約95%にまで達し,透光性も格段に改善した。2時間の加熱に対しても相対密度は変わることはなく,短時間で焼結が完了することを示している。これは,電熱に依らないミリ波加熱特有の結果である。残念ながら,現在でも焼結体の透明性を確保するに至っていない。グリーン体は約55%の相対密度まで緻密化しおり,これは分散剤の特性によって強く左右される。また,ミリ波焼結では電磁波出力の不安定化が見られた。さらに,アプリケーターの構造から雰囲気制御は現状で困難であり真空焼結が行えない。これらの問題が透明化を阻害しているのではないか,と考えており,技術的な問題を以下にして解決するか,これが今後の課題である。
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