2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560797
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
単 躍進 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20272221)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井本 英夫 宇都宮大学, その他部局等, その他 (20168529)
手塚 慶太郎 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00334079)
|
Keywords | アルミナ蛍光体 / アモルファスアルミナ / 低温合成 / スピンコーティング |
Research Abstract |
昨年度に安価な原料と比較的低温(~720°C)の加熱よりアルミナ蛍光体の合成に成功したという成果に続き,今年度の研究実績を以下にまとめる: 1) 合成法の改良:実用化を見据えた場合,より簡便で収率が良く,さらに量産に適した合成法が望ましい。そのため,従来の研究室規模の合成方法を改善した。具体には,水を使用せずに直接ジエチレングリコール(DEG)にAl(NO3)3;9H2O を溶解することで,濃縮時間やそれに必要となるエネルギーを節約できた。 2) スピンコーティングによる製膜:スピンコーターにより製膜することができた。また,一度製膜した試料の上にさらに製膜することも可能であり,これを繰り返すことにより膜厚を調整することが可能であるが,ムラのない均一なアルミナ蛍光体膜の作製はできなかった。しかし,回転数を大きくして,回転時間を長くすることで均一な膜が作製できる可能性がある。来年度は,再挑戦する予定である。 3) 蛍光性のないアモルファスアルミナの合成:今までには,蛍光を示さない試料は全て結晶化したものであり,発光起因の検討は異なる結晶度の下で行うことになる。そのため,炭素不純物,酸素欠陥のどれが発光に影響しているのかを明確にすることが出来ない。今年度では,多量合成の際,偶然に蛍光を示さないアモルファスアルミナを見出した。その後,さらに合成条件を検討して,発光せずのアモルファスアルミナの合成条件(昇温速度100 °C/min,仮焼条件300 °C・7 h,本焼条件700 °C・5 h)を確立し,本格的な発光メカニズムの検討が期待できた。 4) EL性の評価:EL性評価装置を組み立て,既知のEL蛍光体Zn2SiO4:Mn粉末を用い,EL発光(緑色)を確認し,さらに開発されたZnGa2-xAlxO4系固溶体(0.0 <= x <=2.0)のEL性と組成比xの関係を調べた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通りに, 蛍光物質の発光メカニズムの解明,およびEL性の検討を重点に置き,最終目標の達成に大きく前進した。 研究計画に従って,開発された蛍光物質の発光メカニズムの解明とEL性の検討のため,「研究実績の概要」にも述べたように,蛍光を示せないアモルファスアルミナの合成や,蛍光膜の作製,および蛍光粉末を用いたEL性の評価等に力を入れていて,ある程度の成果を得て,最終に目標の達成への準備(用意)ができた。 ただし,研究室の光触媒研究に使われていた分光器を用いてEL性評価装置を組み立たため,購入予定のマルチチャンネル分光器一式が買わなく,研究を進めた。節約された備品代は,蛍光物質の発光メカニズムの追求に充てたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って,最終年度では,開発された蛍光物質の発光メカニズムの解明,および今までに得られた研究成果のまとめと展開を行う。 (A) 発光のメカニズムの解明:今までの蛍光特性とESRや分光分析,微量元素分析,さらにアモルファスアルミナのバンドー計算の結果などと合わせて相互に検討し,発光のメカニズムを突き止める。 (B) 今まで研究成果をまとめて,投稿論文に仕上げると共に,更なる新しい,または高性能の蛍光体の開発にも視野を広げ,次の研究開発のアプローチを生み出す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度は本研究の最終年度であり,主名研究内容は開発された蛍光物質の発光メカニズムの解明EL性の検討である。印加電場とEL性の関係を調べるためには,高性能のオシロスコープの購入を予定し,EL測定用透明電極基板の購入代も計上している。一方,発光メカニズムの解明には,現有の赤外分光装置,TG-DTA装置,質量分析装置およびESR装置を使用するが,それらの消耗品の購入を計上した。その他の消耗品として,高純度試薬,雰囲気ガス,磁性ルツボ・ボートなどの購入,測定装置の借用費用(旅費を含む)や, 学会での情報収集・成果発表,学術論文誌への論文の掲載費用などの経費,大学院生の研究補助に対する謝金なども計上している。
|