2013 Fiscal Year Annual Research Report
安価な新規高結晶性カーボンナノファイバーの調製と評価
Project/Area Number |
23560806
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
鏑木 裕 東京都市大学, 工学部, 教授 (90061572)
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Keywords | バイオセルロース / アニマルセルロース / セルロースナノファイバー / 分散処理 / カーボンナノファイバー / 高温処理 / グラファイトナノファイバー / フェノール系カーボンナノファイバー |
Research Abstract |
植物系セルロースナノフィブリル(Cel-NF)およびバイオセルロース(Bio-NF)を抽出し、溶媒中で分散処理した後、真空濾過してシート状のセルロースナノファイバー集合体(CNF-Sh)を作成し、炭素化、高温処理により軽量で電気伝導率の高いグラファイトナノファイバーシート(GNF-Sh)を調製することを研究目的とした。CNF-Shを単純高温処理することによりGNF-Shが調製できれば、市販のVGCFよりも環境負荷が低く安価なため、種々の工学分野への応用が期待される。昨年度までの研究において、分散溶媒はエタノール+純水が最適で、単純高温処理により黒鉛化し、Bio-NFから得たGNF-Shの電気抵抗率は市販のVGCFの体積抵抗率に匹敵した。しかし、GNF-ShのGNFは互いに融着して繊維形状が確認できなかった。そこで真空凍結乾燥により綿状のセルロースナノファイバー集合体(CNF-FD)を作成した。その際、新たにアニマルセルロース(Ani-NF)を抽出し、そのCNF-FDを炭素化、高温処理することで独立したGNFが得られる事が分かった。最終年度はCel-NFおよびBio-NFについても真空凍結乾燥しCNF-FDを作成した。またAni-NFについてはCNF-Shを調製し、高温処理の効果を検討した。Cel-NFおよびBio-NFを真空凍結乾燥した場合も高温処理により独立したGNFが調製できたが、真空濾過と真空凍結乾燥の処理の違いは黒鉛化の進行に明確な影響を及ぼさなかった。黒鉛化性はAni-NFとBio-NFで大きな違いは無いがCel-NFは劣った。これらナノセルロースの結晶性と細さがAni-NF>Bio-NF>Cel-NFの順で、Cel-NFの均一性が劣るためと考えられた。また、黒鉛化がより進行したGNFにおいても乱層構造領域と非晶質領域が見出され、ナノファイバー試料の不均一性に起因すると考えられた。径(厚さ)が約100nm以下で均一であれば分散制御により単一相のGNFが得られる可能性が示唆された。
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