2012 Fiscal Year Research-status Report
界面熱伝導評価方法の開発およびGe/Si界面熱伝達率の制御
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23560813
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
徐 一斌 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主幹研究員 (30354244)
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Keywords | 界面 / 熱伝導 / 拡散 / 結晶欠陥 / 分子動力学シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、複合熱電材料に多く存在する半導体/半導体界面を対象として、単一界面の熱伝達率の測定手法を確立する。実験と分子動力学シミュレーションの2方面からのアプローチにより界面熱伝導のメカニズムおよび界面付近の結晶構造や、粒子サイズ、ラフネスなどの影響を解明する。さらに、その結果に基づいて、Ge/Si界面を対象として、成膜条件を精確にコントロールすることにより界面熱伝達率の高度制御を実現する。 H24年度には、スパッターにより、異なる基板温度とRFパワーでAu/Ge/SiとAu/Si/Geの界面を作成し、界面熱抵抗の測定を行った。薄膜の結晶状態が界面熱抵抗に影響を及ぼすことが分かった。 さらに、空孔や拡散領域などを含むGe/Si界面のモデルを作成し、界面熱伝導の分子動力学シミュレーションを行い、界面熱伝達率を計算した。計算モデルとしては、総原子数54528のモデルを用意した。相互拡散モデルは、Si、Geそれぞれ界面からの5層を置換領域として、その中の全原子から、乱数を用いて置換する原子をランダムに抽出した。置換原子の割合は、0、20、50、100%とした。空孔モデルは、Si、Geそれぞれ、界面から2層の領域に原子空孔を導入した。導入する空孔数は、Si側およびGe側それぞれ5個とした(界面から1層目に3個、2層目に2個)。以上のモデルを用いて、平均温度50、300、500、700Kでの界面熱抵抗を計算した。その結果として、Si/Ge界面熱抵抗は、相互拡散の割合に影響を受け、相互拡散割合が0、20%の時にもっとも熱抵抗が小さい、100%の時が最も大きい。空孔の有無は、界面熱抵抗にほとんど影響を与えない。さらに、温度が低程熱抵抗が大きくなっていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度は、Si/Ge界面熱抵抗を実験的に測定することに成功した。また、分子動力学計算により、相互拡散と空孔のSi/Ge界面熱抵抗に及ぼす影響を明らかにして、Si/Ge界面熱抵抗を制御するための指針を得た。本年度の研究目的を全部達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、分子動力学シミュレーションを用いて、相互拡散や空孔などの界面熱抵抗に及ぼす影響のメカニズムを解明する。また、これまでの実験とシミュレーションの結果を活用することにより、低熱伝達率を有するGe/Si界面の構造を設計・構築し、界面熱伝達率の制御を実現する。 さらに、本研究で得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の研究費は、Si/Ge界面の試料を作成するためのターゲットや、基板などの消耗品、界面熱抵抗測定装置用の光学、機械物品の購入・加工、シミュレーションソフトの追加プログラム作成、および学会参加、論文掲載などに使用する予定である。
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Research Products
(11 results)