2012 Fiscal Year Research-status Report
圧延法を利用したペロブスカイト型圧電セラミックスの配向制御法の開発
Project/Area Number |
23560815
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
石井 啓介 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 准教授 (30257208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敏夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70090040)
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Keywords | 圧電セラミックス / 圧延配向法 / テンプレート粒成長法 / 非鉛材料 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
1. 昨年度の成果によって一段階溶融塩法による良質な板状NaNbO3結晶粒子の作製法が開発・改良された。本年度はこの結晶粒子をテンプレートとして用い、ペロブスカイト構造を有する非鉛圧電セラミックスの効果的な粒子配向制御法を確立した。一段階溶融塩法によるNaNbO3結晶粒子は良質な板状結晶粒子であるが、これをテンプレートとして用いアルカリニオブ(非鉛)系圧電セラミックスを配向制御することは、これまで困難であった。本年度の研究成果では、セラミックス焼結中のテンプレート粒子溶出にその原因があることを見出した。加えて、一段階溶融塩法によるNaNbO3結晶粒子の作製パラメータを最適化すると共に、焼結条件を調整することで、テンプレート粒子の溶出が抑制可能であることを明らかにした。これらの成果により、同一組成のアルカリニオブ系圧電セラミックスの間では非常に特性の高い高配向セラミックスの作製に成功した。 2. 昨年度の成果により開発された回転圧延法により、新たに非鉛系圧電材料である(Sr,Ca)2NaNb5O15セラミックスの配向制御法を確立した。(Sr,Ca)2NaNb5O15はタングステンブロンズ構造を有するが、従来の簡易的な溶融塩法では、針状のテンプレート結晶粒子を得ることが困難であった。また、極めてランニングコストが高い超伝導マグネットを用いた回転磁場配向法以外に、高配向(Sr,Ca)2NaNb5O15セラミックスの効果的な作製法はこれまでなかった。本年度の研究では、二段階の溶融塩法により、高い針状比を有する結晶粒子を得ることに成功した。これと回転圧延法とを用い、配向度0.9を超える高配向セラミックスを簡便に作製することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ペロブスカイト構造を有する非鉛圧電セラミックスの配向制御法が、2年目でほぼ確立された。立方体形状のテンプレートの配向性制御法には目立った成果が得られなかったが、当初の予定に無い良質な板状KNbO3系単結晶粒子を安定的に作製する手法が初年度に見出されたため、これを用いての効果的な配向制御法が開発できた。また、回転圧延法による非鉛圧延セラミックスの配向制御にも成功した。作製された配向セラミックスは、相対密度、および、配向度ともに95%を超える。これらの値は、最終年度に計画されている圧電諸特性の正確な評価をおこなうに十分耐える試料が得られたことを示している。よって、24年度計画されていた研究目標をほぼ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの成果によって得られたペロブスカイト構造を有する非鉛材料の圧電配向セラミックス、および、その仲間であるタングステンブロンズ構造の非鉛材料である圧電配向セラミックスについて、線形の圧電諸特性の正確な測定評価をおこなう。それに加え、圧電配向セラミックスではこれまで体系的な研究がなされたことのない、非線形圧電性について評価と解析をおこない、本研究で開発された材料を大電力用デバイスへ応用するための指針を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度においても、当初の研究計画通り、電気炉の発熱体、原料試薬、切断研磨用品といった消耗品に研究費を充当する予定である。
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Research Products
(7 results)