2011 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン類の表面改質とナノハイブリッド化による高感度分子センシング材料の合成
Project/Area Number |
23560820
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤木 一浩 新潟工科大学, 工学部, 教授 (60251865)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | グラフェン / カーボンナノチューブ / ナノ材料 / 表面グラフト / ゾル-ゲル反応 / 無機/有機複合材料 / 分子センシング |
Research Abstract |
環境中に存在する内分泌撹乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)や揮発性有機化学物質を、安価に且つ迅速に検出する手法の開発を目的として、本研究では、新しい機能性材料として注目を集めているグラフェンやカーボンナノチューブ等の炭素ナノ材料を用いて、発泡スチロール(ポリスチレン)及びPETボトル(ポリエチレンテレフタレート)の廃プラスチック材料との存在下で、ゾル-ゲル反応を行うことにより、これらのナノ材料やポリマーがマトリックスゲル中に均一に分散した柔軟性を有する導電性無機/有機複合膜を合成するとともに、内分泌撹乱化学物質等に対して特異的選択的に応答・検出する機能を付与した分子認識センサーの合成を試みる。 平成23年度は、ゾル-ゲル法による、炭素ナノ材料や廃プラスチック由来のポリマーがマトリックスゲル中に均一に分散した無機/有機複合膜の合成について検討した。 ビニルフェロセンとスチレンあるいはメタクリル酸メチルとのラジカル共重合によりフェロセン部位を有するコポリマーを合成し、このコポリマー中のフェロセン部位と炭素ナノ材料の表面縮合芳香族環との配位子交換反応を試みたところ、対応するコポリマーが炭素ナノ材料の表面にグラフトし(グラフト率:5~40%)、得られたナノ材料はポリスチレン及びPET中に均一に分散する性質を有することがわかった。 次に、ゾル-ゲル反応プロセスに添加するポリスチレン及びPETと親和性を有するマトリックスゲルを合成するために、ゲルを構成する金属アルコキシド成分について検討した結果、フェニル基を置換基として有するケイ素アルコキシドを用いて、廃プラスチック由来のポリスチレン及びPETと、ポリマーグラフト化炭素ナノ材料との共存下でゾル-ゲル反応を行うと、ポリマーとナノ材料の2つの成分がマトリックスゲル中に均一に分散した無機/有機複合ゲルを合成できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、ゾル-ゲル法により、廃プラスチック由来のポリマーと炭素ナノ材料の2つの成分がマトリックスゲル中に均一に分散した無機/有機ナノ複合ゲルを合成し、フィルム状にキャストして薄膜化する反応条件までを確立する予定であった。しかしながら、2つの成分がマトリックスゲル中に均一に分散した無機/有機複合ゲルを合成するまでは到達したが、次の段階の薄膜化するまでの反応条件を明確に見出せていない。 よって、今後は、本研究課題でキーポイントとなる薄膜化可能なマトリックスゲルの合成に関わる様々な反応条件、すなわち、金属アルコキシド成分の種類、添加量、ゾル-ゲル反応プロセスに添加する廃プラスチック由来のポリマー及びポリマーグラフト化炭素ナノ材料の添加量、添加比率、添加時期・順序等について早急に確立すべく、注力する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に引続いて、得られる無機/有機ナノ複合ゲルをフィルム状にキャストして薄膜化するまでの反応条件について詳細に検討し、ナノ複合膜合成法の確立を最優先課題として取り組む。次いで、得られる複合膜について、廃プラスチック由来のポリマーと各種炭素ナノ材料のマトリックスゲル中への分散状態や、マトリックスゲルとポリマー及び炭素ナノ材料との相互作用の度合いを評価して、引っ張り強度などの機械的特性との関係を究明する。 次に、添加するポリスチレン及びPETと、炭素ナノ材料表面のグラフト鎖との組み合わせを変えて無機/有機ナノ複合膜を合成し、内分泌撹乱化学物質及び揮発性有機化学物質等の吸着特性を測定する。また、炭素ナノ材料の添加量・ポリマーに対する添加比率、ナノ材料表面のグラフト鎖の分子量・グラフト量が、分子吸着特性に及ぼす影響についても詳細に検討し、目的とする分子を特異的選択的に吸着する性質、すなわち分子センシング機能についてテストする。 平成25年度は、ナノ複合膜の電気抵抗値の挙動を測定し、分子吸着量と電気抵抗値との関係を明らかにして、簡便で且つ精度・応答性良く、内分泌撹乱化学物質をはじめとする種々の液体分子や気体分子の吸着量を検知するセンサーとしての測定条件・方法の確立を目指す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究進捗状況は、上述のとおり当初の研究計画よりもやや遅れが生じている。このため、試薬類やガラス器具類の購入に充当する予定であった消耗品費に余裕が生まれ、この分を次年度使用額に繰り越しとした。 平成24年度は、薄膜化可能なマトリックスゲルの合成に関わる様々な反応条件の確立が最優先の課題なので、無機/有機ナノ複合ゲルの合成に関わる操作として、炭素ナノ材料表面へのポリマーのグラフト化反応や有機溶剤の精製の際等に必要となる冷却トラップ装置の購入を優先して、当該年度の請求額と合わせ、設備備品費を以下のとおり計上する。残りを、試薬類、ガラス器具類の購入のための消耗品費と調査・研究及び成果発表のための旅費に充当する予定である。・設備備品費:冷却トラップ装置・東京理化 UT-2000(1×@500) 500(金額単位:千円)・消耗品費:試薬類及びガラス器具類 50・旅費:高分子学会年次大会 3日間 50
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Research Products
(4 results)