2013 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブを用いた高分子アクチュエータの高機能化
Project/Area Number |
23560822
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
杉野 卓司 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (50357266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 健司 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (30344188)
安積 欣志 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (10184136)
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Keywords | カーボンナノチューブ / イオン液体 / アクチュエータ / 添加物 / 電荷移動錯体 / メカニズム |
Research Abstract |
本研究課題では、カーボンナノチューブとイオン液体および支持高分子からなる電極膜の伸縮現象を利用したアクチュエータの高機能化を目的として研究を進めてきた。3年間の研究期間で今年度が最終年度であった。最終年度では、アクチュエータの電極膜中にドナー性有機分子(テトラチアフルバレン(TTF))やアクセプター性有機分子(テトラシアノキノジメタン(TCNQ))を添加することによるCNTへのn-typeあるいはp-typeドーピング効果について検討した。その結果、TTFの添加(n-typeドーピング)は、0.1Hzより速い周波数でアクチュエータの変形応答を向上させること、また、逆にTCNQの添加(p-typeドーピング)は0.1Hzより遅い周波数域で変形応答を向上させることが明らかになった。 昨年度までに、本研究対象であるカーボンナノチューブ高分子アクチュエータは電圧を印加すると正極側に屈曲変形するが、時間とともに変位が戻ってしまうという問題点があり、本現象は用いるイオン液体のアニオンの移動に起因していることを突き止めた。変位の戻り現象改善の指針として、アニオンの移動による体積変化を小さくするため、より小さなアニオンを使用すること、あるいは、カチオンとアニオンのサイズ差を最大化することが有効であることを得た。一方、最終年度にドーパントとして用いたTCNQの添加あるいはTCNQ/TTFを同時添加することによっても変位の戻り現象が抑制され、アクチュエータの耐久性を大きく改善することに成功した。 本研究を通して、研究対象であるカーボンナノチューブを用いた高分子アクチュエータの応答特性を飛躍的に向上(伸縮率で約3倍、発生力は約10倍向上)させることに成功し、さらに耐久性の改善により、カーボンナノチューブ高分子アクチュエータを実用化可能なレベルまで高機能化することに成功した。
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Research Products
(6 results)