2012 Fiscal Year Research-status Report
一方向配列カーボンナノチューブを適用した高張力ポリマー複合材料の創出
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23560823
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小笠原 俊夫 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 主幹研究員 (20344244)
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Keywords | carbon nanotube / composite / PPS / epoxy |
Research Abstract |
本研究は、一方向に配列した多層カーボンナノチューブ(MW-CNT)を適用した高張力CNT/樹脂複合材料の創成を目的としている。具体的にはCVD法によって基板に対して垂直に配向成長したMW-CNT-Forestから一方向配列MW-CNTシートを製作し、これを強化材として複合材料の試作を行う。 はじめに熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂をマトリクスとする複合材料を対象として、走査型電子顕微鏡(SEM)写真からCNT配向分布データを取得するとともに、等価介在物理論を適用することによって、CNTの配向分布が複合材料の弾性率に及ぼす影響を定量的に明らかにした。更にCNT配向分布の改善には、プリプレグへの延伸処理が有効であることを実験的に示すとともに、理論的な裏付けも得た。 また、CNT配向方向のみならず、非主軸方向の応力・ひずみ特性を明らかにするとともに、複合材料の積層理論によって、擬似等方積層材料および直交積層材料の弾性率が予測可能であることを明らかにした。 これまで対象としてきたエポキシ樹脂に加えて、熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS)をマトリクスとする複合材料の試作実験を行い、良好な複合材料を試作可能な条件を見いだした。体積分率で32%のCNTを分散したCNT/PPS複合材料では、世界最高レベルである引張り強度275MPa、引張り弾性率67GPaを達成した。ただし、体積分率5%における弾性率は目標値である15GPaを達成しているものの、強度については目標値200MPaに対して未達である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったCNTシートの製作、CNT/エポキシ樹脂およびCNT/熱可塑性樹脂複合材料の製造プロセスについては、ほぼ目処がたってきたものと考える。引張り強度については未達であるものの、弾性率としては目標を上回る数字が得られている。 一方、真空紫外光によるCNT表面改質については、CNTへのダメージが予想外に大きく、これまでのところ期待したような成果は得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き配向CNTを適用した複合材料の試作と評価を進める。CNT複合材料における強度が未達であることから、透過型電子顕微鏡観察などによってCNT複合材料における強度発現メカニズムを明らかにする。得られた結果をもとに、CNT複合材料の強度を向上するための指針を得る。 真空紫外光によるCNT表面改質については、期待するような成果が得られないことから、次年度については研究継続を断念し、他の手法による表面改質について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)