2013 Fiscal Year Annual Research Report
一方向配列カーボンナノチューブを適用した高張力ポリマー複合材料の創出
Project/Area Number |
23560823
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小笠原 俊夫 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 航空本部, 主幹研究員 (20344244)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 複合材料 / エポキシ / 熱可塑性樹脂 / 真空紫外光 |
Research Abstract |
本研究は、一方向に配列した多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を適用した高張力CNT/樹脂複合材料の創成を目的として実施したものである。静岡大学の井上翼准教授が発明した手法を用いて成長させた垂直配向MWCNT-Forestから一方向配列MW-CNTシートを製作し、熱硬化性樹脂(エポキシ)および熱可塑性樹脂(PPS)をマトリクスとする複合材料を試作した。またCNTへの表面修飾のため、真空紫外光による光化学反応を利用した技術についても検討を行った。 その結果、配向CNTの分散による引張り弾性率および強度の著しい向上が確認された。CNT体積率32.8 %のCNT/エポキシ複合材料では、ヤング率89 GPa、引張り強度239 MPaという値が得られ、これは短繊維CFRPに匹敵する値である。同様の力学特性向上は熱可塑性樹脂であるPPSでも確認され、例えばCNT含有率33.6 vol.%の複合材料において、ヤング率 62 GPa、引張り強度506 MPaという値が得られた。いずれの複合材料においても、強度・弾性率ともに世界最高レベルの値である。 CNT複合材料における弾性率および強度発現メカニズムを究明するため、TEMによるCNT複合材料の逐次損傷進展挙動の直接観察や、CNT配向分布の定量的な評価についてもあわせて実施した。 更に、真空紫外光(VUV)照射による表面改質の検討を実施した。VUV照射後のCNTシートを用いたCNT/エポキシ複合材料を試作し 、引張り試験により力学特性を評価した。その結果、VUV照射によって若干の強度低下が認められ、CNTの表面が予想外の損傷を受けている可能性が示唆された。
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Research Products
(10 results)