2012 Fiscal Year Research-status Report
粒界構造制御による希土類磁石高保磁力化を目指したNd-O生成機構の第一原理計算
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23560826
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陳 迎 東北大学, 国際教育院, 准教授 (40372403)
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Keywords | 希土類磁石 / 高保磁力 / Nd-O / 粒界構造 / 生成機構 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
本研究では、希土類磁石Nd/Nd-Fe-Bの界面に生成されたNd-Oを対象として、高保磁力化に必要な微視的組織形成を理解するための電子論的解析を目指す。H23年度には、バルクNd-O系の基底状態の電子状態、構造特性と磁性の計算を中心として、Nd/Nd-O界面の予備計算も行った。H24には、大規模な界面計算を中心として行った。(1) Nd-Fe-Bの表面にスパッタされた金属Nd層とfcc-NdOxの界面モデルに対して電子状態解析を行った。hcp-NdOxとfcc-NdOxの二種類の構造がそれぞれ、dhcp-Nd金属相との界面に対して、各相の平衡状態での結晶格子定数を維持する不整合界面における界面エネルギーを算出した。Nd/fcc-NdOxの界面エネルギーはNd/hcp-NdOx より低く、安定することが明らかになった。また、Nd側に一番NdOx層に近い原子の局所状態密度(LDOS)を調べ、Fermi準位でのLDOSは、Nd/hcp-NdOxの場合、大きなピックになって系の不安定性を与える電子構造特徴が示しているのに対して、Nd/fcc-NdOxの場合は、相対的に安定する電子状態になっていることが分かった。(2) さらに、11個のdhcp-Ndセル2層と10個のfcc-NdOx 2層から構成した大規模な部分整合界面モデルを構築した。層間距離の最適化を行い、全エネルギー極小になるセルのパラメータを決めて界面エネルギーの計算を行った。比較するため、dhcp-Nd/hcp-NdOx の部分整合界面に対する計算も必要であるが、巨大な計算量になっているので、計算がまだ途中である。(3)来年低酸素域の状態図計算するための規則構造の形成エネルギーから有効クラスター相互作用の抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は順調に進行しているが。より効率よく研究を進めることを考慮して計画を調整した。不整合界面の計算は予定通り行っていて、H24年度に計画した大規模な部分整合界面計算が予想より巨大な計算になっているので、計算は少し延長した。また、状態図の計算は最初の計画を調整して、Nd/Nd-O界面計算の後にH25年度に行うこととして、H24年度にはこの計算の準備を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度には、大規模な部分整合界面の計算を続けて、温度効果を考慮した研究対象の領域(酸素濃度0-20%)における状態図の計算が始まる。さらに、連携研究者の協力を得ながら界面の最適化設計を検討する。同時に、微量Cu元素ドッピン効果の解明へ進む。実験報告された保磁力向上に有効なCu元素をNd-Oに導入して計算を行い、Cu原子の存在形態、保磁力向上への役割を解明する。さらに、Nd-Fe-B希土類磁石に存在する界面相Nd-O生成機構ついて、得られた結果を取りまとめ、希土類磁石保磁力向上する粒界構造の制御について提案し、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
積極的に同じ分野の研究者と交流をしながら、内外の学会での発表を行い、また実験や計算の専門家を招聘して深く議論することも考えている。そのための外国、国内旅費や謝金、研究代表者と連携研究者と打ち合わせするための旅費も計上されている。また、3年間での研究で得られた成果については、論文発表と共に、積極的に内外の学会での発表を行うため、論文投稿費と外国、国内旅費が必要となる。
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Research Products
(2 results)