2011 Fiscal Year Research-status Report
高強度・高導電性を有するCu-Ni-Fe-P合金の開発
Project/Area Number |
23560831
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
門前 亮一 金沢大学, 機械工学系, 教授 (20166466)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 高導電性合金 / ナノ組織制御 / ARB / 極低温圧延 / Cu-Ni-P系合金 |
Research Abstract |
本年度は,通常Niを約0.7wt%(以後wt%は諸略),Pを約0.15含む,安価でリサイクル性のよいCu-Ni-P系合金にFeを添加し,NiとFeの合計が1,P量を0.25に増やしたCu-Ni-Fe-P系合金に強圧延と特殊な時効処理を組み合わせることによって,これまで以上に引張特性に優れ,良好な導電性を有するCu-Ni-P系合金の創製を試みた. Feの含有量を変えて実施した予備実験で最も高い強度が得られたCu-0.8Ni-0.2Fe-0.25P-0.1Zr合金に,1)450℃で予備時効+76%冷間圧延+375℃で再時効,2)450℃で予備時効+6サイクルのARB加工+375℃で再時効,3)450℃で予備時効+40%圧延+450℃で再時効+60%圧延,の3種類の加工熱処理を行った結果,3)の試料が最も引張特性に優れ,良好な導電性を有していた.すなわち,0.2%耐力=650MPa,引張強さ=680MPa,伸び=10%,導電率=60%IACSという特性が得られた.これらの値は,Cu-0.7Ni-0.13P-0.1Fe市販合金のそれぞれ630MPa,670MPa,7%,65%IACSと比べ強度は若干高く,伸びは大きく,導電率は低い.なお,76%冷間圧延後の結晶粒径は約14μm,ARB加工後のそれは0.2μmと非常に微細化され,予備時効後再時効を挟んで2回の圧延後のそれは2μmと微細化された. 市販合金はMg等の元素を微量添加することによって強度をさらに向上させているが,本合金では安価なFeをNiの替りに一部置換することによって同等以上の強度を得たのみならず,伸びが向上したことに意義を見出せる.伸びの向上は曲げ加工性等の改善につながる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のCu-Ni-P系市販合金にFeを添加し,Ni量とP量を増やしたCu-0.8Ni-0.2Fe-0.25P-0.1Zr合金に,予備時効後再時効を挟んで2回の圧延を施した場合,予備時効後冷間圧延またはARB加工と再時効を併用したときと比較して強度が高く,市販合金と比べても強度は若干高く,伸びは大きい銅合金を作製することができた.しかし,合金元素の量を増やしたため導電率は若干低いし,ARB加工による結晶粒微細化も強度の向上には繋がらなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
Cu-Ni-P系市販合金の導電率に匹敵し,その引張特性より優れたCu-Ni-Fe-P系合金を作製するため,P量を減らすとともに,低温(-150~-100℃)での強圧延と特殊な熱処理との組み合わせにより,析出強化と転位強化による強度の向上と結晶粒微細化による強度と延性の向上を図る.併せて,市販合金レベルの良好な曲げ加工性,応力緩和特性の付与を図る.なお,極低温圧延はARB加工に比べ,強度の向上には有効な手法であることが,本合金とは異なるNi,P含有量を持つCu-Ni-P系合金,Cu-Ni-Si系合金で確認してある.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
外国旅費で\300,000,国内旅費で\100,000,消耗品費で\100,000,人件費・謝金で\100,000,合計\600,000を使用予定にしている.
|
Research Products
(3 results)