2013 Fiscal Year Annual Research Report
高強度・高導電性を有するCu-Ni-Fe-P合金の開発
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23560831
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
門前 亮一 金沢大学, 機械工学系, 教授 (20166466)
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Keywords | Cu-Ni-P系合金 / ナノ組織制御 / 極低温圧延 / 変形双晶 / 転位密度 / 高導電性合金 |
Research Abstract |
昨年度は,Cu-Ni-P系合金の強度向上を目的として,Cu-0.8wt%Ni-0.2wt%Fe-0.20wt%P合金(以後wt%省略)を用い加工熱処理に工夫を凝らすと共に,極低温圧延を加工プロセスに導入することにより,市販合金の導電率に匹敵し,その引張特性より優れた合金の作製に成功した.本年度はCu-0.8Ni-0.2Fe-0.20P(0.2Fe)合金をベース材として,Cuの積層欠陥エネルギーを下げる効果があるCoをNiと置換し,変形双晶をさらに導入することによりさらなる強度の向上を図る.Co置換合金に時効処理,冷間圧延,極低温圧延の適切な組み合わせにより高強度のみならず,延性の付与も図る.得られた結果は以下のように要約される. (1) Cu-0.8Ni-0.2Co-0.20P(0.2Co)合金を450°Cの予備時効後40%冷間圧延し再び450°Cでピーク時効を行い, 仕上げに60%冷間圧延を実施した.0.2%耐力,引張強さ,伸び,導電率はそれぞれ700MPa,730MPa,5%,58%IACSであり,0.2Fe合金のそれぞれ660MPa,700MPa,8%,64%IACSと比べ,強度は向上したが,伸びと導電率は低下した.Fe置換合金よりCo置換合金の強度が高いのは,高い転位密度,小さい析出物間距離,高い変形双晶密度による. (2) 仕上げに80%極低温圧延を0.2Co合金に施すと,80%冷間圧延を施した場合に比べ,引張強さは約30MPa増加し760MPaにも達する.この強度の増加は転位密度の増加に加え、変形双晶密度の増加によると理解された.伸びは5%,導電率は57%IACSであった. 以上,高強度・高導電性を有するCu-Ni-P系合金の作製には成功したが,延性は十分ではない.今後,高強度・高導電性を有し,市販合金レベルの良好な曲げ加工性,応力緩和特性の付与を目指す.
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Research Products
(3 results)