2011 Fiscal Year Research-status Report
新奇な熱電材料設計:ナノサイズ格子の原子配置ランダム化による移動度向上機構の検討
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23560838
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤井 光治 山口大学, 大学情報機構, 准教授 (20314825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 堅剛 山口大学, 理工学研究科, 助教 (50234216)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 熱電材料 / クラスレート半導体 / ランダムポテンシャル |
Research Abstract |
平成23年度は混晶系の電子構造探査を主体に研究を進めることとした。クラスレートでは、ホストサイドでIV族/III族の混晶化が必要であり、スーパーセルのアプローチと仮想結晶近似のアプローチで進めた。スーパセルのアプローチではダブル置換に対する元素配置を決める必要がある。これについて妥当なモデルの選定とモデルによる配置計算を進めた。一方で、ダブル置換がバンド構造におよぼす影響の特徴をつかむため、スーパーセルと仮想結晶近似のハイブリッド的な方法を用い、Al/Gaダブル置換による効果を確認した。また、ゲスト系に対するダブル置換効果の計算も行った。具体的な結果について、以下に示す。 ホストサイトのIII族/IV族配置について、タイプI構造およびタイプVIII構造に対する配置をIII族元素間の最近接相互作用モデルを用いて計算した。ここでは、各サイトにおけるIII族占有とIV族占有に対する占有エネルギー差およびIII族元素の最近接相互作用の大きさを第一原理計算による計算結果から見積もった。現在モデルの構築段階にあり、ホストサイトに対しては2元系での配置を調べた。2元系では最近接相互作用モデルである程度実験と整合性のある結果が得られ、最近接相互作用モデルの有効性が確認された。更に、占有エネルギーの一部をパラメータとして変化させた場合、変化させたサイトのみならず全体の配置があるパラメーター値で大きく変化し、ホスト元素の種類により配置が大きく換わる可能性を示唆する結果が得られた。 電子構造計算については、Ba-Al-Ga-Sn系について計算を行った。計算ではIII族配置により大きくバンド構造が変化する結果となっている。しかし、Ba-Ga-Sn系では構造緩和によりバンドギャップなどの違いが小さくなる傾向が得られた経緯があり、更なる計算が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ダブル置換系の原子配置について、計算に必要なデーター取得に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
III族配置については、当初予想していなかった振る舞いが現れるなど、配置モデルの決定の重要性が増している。このため、引き続き検討を進める。また、電子構造に加え、散乱機構について検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算サーバートラブルにより、計算環境の強化を行った。これにより、当初予定していたストレージ系の導入を延期し、H24年度予算と合算し導入する。
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Research Products
(1 results)