2013 Fiscal Year Annual Research Report
新奇な熱電材料設計:ナノサイズ格子の原子配置ランダム化による移動度向上機構の検討
Project/Area Number |
23560838
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤井 光治 山口大学, 大学情報機構, 准教授 (20314825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 堅剛 山口大学, 理工学研究科, 助教 (50234216)
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Keywords | 熱電材料 / クラスレート半導体 / ランダムポテンシャル |
Research Abstract |
本研究ではカゴ状構造を持つクラスレート半導体Ba-Ga-Sn系に注目し、その熱電構成能化の検討をホストサイトのランダム性に注目し検討を進めてきた。H25年度はこの系の熱電特性と強い相関を持つGa配置において分布のゆらぎの検討を進めた。 これまでに、このゆらぎの検討はGa間の最近接モデルにより検討行っている。クラスレート半導体ではホストサイトにGa/Snが同程度に近い比率で混在する。一方、Gaイオンは隣接することを嫌い、互いに避け合う傾向を持つ。このため、Ga分布ゆらぎが強く抑制されている可能性を検討したが、ほとんど抑制されていない結果となった。このことに基づき、更にモデルの精度を高めるため、イオンモデルによるクラスレート半導体Ba-Ga-Sn系におけるホスト構造の計算を行った。 まずは、このイオンモデルに必要なパラメータについては、第一原理電子構造計算手法を用い決定した。イオン間の相互作用については、周りのイオンによるスクリーニングの効果を取り入れた誘電率を計算し、それを用いた。短距離相互作用に起因するパラメータは全エネルギーから算出した。構築されたイオンモデルを用い、ホスト構造に対するシミュレーションを行った。計算には熱平衡を仮定したモンテカルロ法を用い、融点付近の温度を平衡温度した。この計算結果からまずは単位格子スケールでGa分布ゆらぎの大きさを見積もったところ、完全なランダム配置の場合や最近接モデルの場合と比べゆらぎが強く抑制され、長距離相互作用がホスト構造に大きく影響を及ぼしていることが明らかになった。更に大きなスケールでは、Ga分布に対する粗視化スケールの長波長極限でゆらぎが消失することを見いだした。このことは、この系の熱電性能の高性能化と強く関連することが期待される。
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Research Products
(6 results)