2013 Fiscal Year Annual Research Report
FCC+BCC複相鋼における異相界面を利用した高速変形特性の制御
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23560839
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上路 林太郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (80380145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水口 隆 香川大学, 工学部, 助教 (00462515)
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Keywords | 強度 / 高速変形 / 異相境界 / 結晶塑性 / オーステナイト / 鉄鋼材料 / フェライト / 加工熱処理 |
Research Abstract |
二相ステンレス鋼とHadfield鋼に対して、検力ブロック式材料試験機を用いて、同一の試験機系を用いて、0.001/sから1000/sまでの各種ひずみ速度での引張試験を行い、応力ひずみ曲線を測定した。各試料の0.2%耐力はひずみ速度の対数の1次関数的に増大した。低速で各種温度での変形も調査した。各種条件で変形させた試料に対してEBSDを用い、多結晶体の個々の結晶粒の方位を測定した。ひずみの増大とともにフェライト部およびオーステナイト部の局所方位差が単調に増大することが確認できた。0.001/s試験材における方位差の増大速度はオーステナイトの方が大きかった。同様の関係は高速変形材でも確認された。すなわち、少なくともSUS329J4Lの場合、局所方位差の発達には、ひずみ速度の変化は大きな影響を及ぼさないことが明らかとなった。異相境界近傍で予想される種々のすべり系の活動を定量的に評価するため、異相境界から1μm以内にある領域のみの測定データを抽出して局所結晶方位差(隣接測定点間の方位差)を評価した。その結果、測定領域全体から得られたデータと比較して、フェライト部とオーステナイト部の両相におい0.2deg.程度大きな値を示した。さらに高速変形に伴い、これらの局所方位差の差異は大きくなることが明らかとなった。オーステナイト部の変形挙動を明らかにするために実施した準安定高マンガン鋼の試験実施に加えて、二相鋼の各相の結晶方位関係も明らかにした。これまで得られた二相鋼の変形組織のEBSDなどによるキャラクタリゼーション結果を踏まえ静動差発現メカニズムの解明を考察した結果、二相鋼における高速変形時の良好な延性は(1)異相界面近傍の局所方位差発達による加工硬化の増大と(2)オーステナイト鋼の高速時の延性発現に関係することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)