2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560843
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
戸高 孝 大分大学, 工学部, 准教授 (50163994)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 微小永久磁石 / ネオジム磁石 / ナノコンポジット磁石 / 回転液中紡糸法 / 液体急冷 / 保磁力 / 飽和磁化 / レアアースフリー |
Research Abstract |
本年度、NdFeBナノコンポジット磁石組成母合金を用いて、微小永久磁石の製造法の確立を目指した。課題としては、回転液中紡糸法での急冷速度の向上とネオジムの酸化を極力抑えることが挙げられる。急冷速度に関しては、回転液中紡糸法試料作製時のノズル径を0.3mmから0.1mmまで変化させ急冷速度を変化させてその影響を明らかにした。ノズル径0.1mmで作製した試料では主相が安定して観測され、磁気特性も向上した。またSEMで観察した結果では細かい結晶粒となっていた。ネオジムの酸化防止に関しては、酸化防止材(妨錆剤)を冷却媒体に投与し、焼入れ油や水で多層構造化し、さらに液温の制御機構を付加した。またドラム内の雰囲気制御(アルゴンや窒素ガス使用)を行った。妨錆剤の濃度を0.75%とした水溶液を用いることで、ネオジムを15at%程度含んだ母合金で細線化が可能となった。水とハイスピードクエンチオイルの二層構造も細線化には有効であったが、ネオジムを10at%程度までが限界であった。また、ドラム内の雰囲気制御も試みたが、磁気特性への影響は殆ど観測できなかった。液温の制御機構での実験は次年度に行う予定である。作製試料の熱処理条件と保磁力の関連を検討した結果、600度2時間の条件が最適であることを明らかにした。保磁力向上の添加剤としてはCr,Alの第4元素の添加を検討した。1wt%以下の添加によって保磁力の僅かな向上が得られたが、飽和磁化が添加量に比例して減少し、機械的には脆くなった。 既存の永久磁石の中では NdFeB 系ナノコンポジット磁石が、現在最も有力であるが、レアアースフリーは国家戦略的に重要な技術開発事項となっており、希土類を使わない金属系で所望の特性を出すことが将来的には重要となってくる。今年度は磁石合金(Fe-Co-Cr)並びにSmCo磁石の細線化を試み、細線化の条件を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
回転液中紡糸法試料作製時のノズル径や熱処理条件と保磁力の関連を明らかにできた。また、冷却液の選定や多層化、ドラム内の雰囲気制御を行い、Ndの酸化の影響を検討した。さらに、第4元素の添加(Cr,Al)や磁石合金(Fe-Co-Cr等)の細線化を試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き同様の検討を行う。ナノコンポジット磁石では、ナノ粒子(主相)を形成するための熱処理の最適化を行う。他方、保磁力を向上するためには主相を増やすことが重要と考えられるので、酸化するNdを見越して,その量をある程度豊富に添加することや,酸化防止対策を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に繰り越して使用する予定の助成金は無い。次年度の研究費使途は主に金属材料、石英ノズルやアルゴンガス等の消耗品費と旅費(国内会議5件<富山、横浜、長崎、奈良、東京、国際会議1件<ベトナム>)を計画している。
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