2012 Fiscal Year Research-status Report
Ag-エポキシ系等方性導電性接着剤の疲労寿命解析手法の確立
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23560846
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
苅谷 義治 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (60354130)
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Keywords | 導電性接着剤 / マイクロ接合 / 熱疲労 / 信頼性解析 |
Research Abstract |
本年度は,導電性接着接合部の熱疲労変形挙動をFEMで解析するのに必要となる基本的な力学特性(粘弾性,塑性特性)を,前年度で用いた微小試験片を用いて,熱疲労変形が問題となる-40℃から150℃の範囲で測定した.なお,導電性接着剤の力学特性は,フィラー配向に依存する異方性を有するため,異方性を考慮した力学特性を記述する構成方程式となる.しかし,実験で求めるのは困難であるため,ミクロスケールFEMモデルを用いた数値材料試験により6方向(引張3方向,せん断3方向)の材料試験を実施し,その結果から異方性を考慮した構成式の構築を検討した. ミクロスケールFEMモデルを用いた各方向の応力緩和試験より方向により,Ag-epoxy系導電性接着剤では,応力緩和曲線の挙動に差が生じ,粘弾性特性に異方性が出現することがわかった.一般に粘弾性挙動の解析には一般化マクスウェルモデルが用いられ,このモデルは等方性であり,異方性を考慮できない.しかし,緩和時間は異方性を有しないことがわかり,このことから,マクスウェル要素のバネ要素に直交異方弾性を考慮することにより異方性を考慮することが可能となると考えられる.数値材料試験で得られた結果から,直交異方弾性と一般化マクスウェルモデルを組み合わせた構成式を検討した結果,数値材料試験で得られた異方粘弾性挙動を再現可能であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した当該年度の研究計画である「異方性を有する粘弾性特性を記述する構成方程式の導出」に成功し,さらに,前年度に明らかとなった疲労寿命予測パラメータと併せて,次年度に計画しているFEMによる疲労解析の準備ができたといえる.このような理由から研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,パワーデバイスにおけるFEMを用いた熱疲労解析と寿命予測法の妥当性の確認のため,実際のパワーデバイスを模擬した積層構造を作成し,申請者が保有する温度サイクル試験機を用いて,熱疲労寿命を測定する.この疲労寿命を本年度構築した構成式を用い たFEM解析と前年度構築した疲労寿命予測モデルを用いて,その妥当性について確認するとともに,寿命予測モデルおよび力学構成式の高精度化の検討を行い,導電性接着剤の熱疲労寿命予測モデルを提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
熱疲労試験に用いる試験作成に関する消耗品費,およびFEM解析に用いるソルバーのライセンス費用を計上する.また,研究成果の公表にあたり,金沢で開催される日本金属学会秋期大会参加に係わる旅費および論文投稿料を形状する.
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