2013 Fiscal Year Annual Research Report
Ag-エポキシ系等方性導電性接着剤の疲労寿命解析手法の確立
Project/Area Number |
23560846
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
苅谷 義治 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (60354130)
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Keywords | 電子実装 / 導電性接着剤 / 接着剤 / 粘弾性 |
Research Abstract |
前年度の研究により,Ag-epoxy系導電性接着剤の粘弾性特性には異方性が出現し,この異方粘弾性特性は,直交異方弾性と一般化マクスウェルモデルを組み合わせることで再現可能であることが明らかとなった.本年度は,導電性接着剤で実装した接合部モデルを用いて熱疲労寿命解析の検討を行った. 実装部の熱疲労寿命は,接合部(導電性接着剤)に生じる粘弾的損失エネルギーを用いて整理できることがわかった.ただし,導電性接着剤に生じる粘弾的損失エネルギーを有限要素法解析(FEM)で計算する場合,Agフィラーの配向による異方性により接合部の応力集中の挙動に差異が生じ,粘弾的損失エネルギーがフィラーの配向の影響を強く受けることが明らかとなった.このように,FEM解析において導電性接着剤の異方性を考慮するか否かにより寿命予測に差異が生じることが明らかであり,接合部の熱疲労寿命予測解析には異方粘弾性構成式を用いたFEM解析が必要性があることがわかった. また,異方粘弾性解析から得られた接合端の応力集中の挙動より,熱疲労寿命を長くするためのフィラー配向および形状の設計が可能であることが示唆された. さらに,本年度は,Agフィラーの形状に着目した接着剤の研究を行い,Agフィラーの低温焼結により,一般的なクリープ出現温度経験則より低温で応力緩和する結果が得られた.一般にAgが多く含有する接着剤では,応力緩和が起こらず,半導体部品に大きな負荷が生じるが,この成果を応用することにより,応力緩和により半導体の負荷を低減し,かつ高熱伝導の接合部を形成できる新たな知見が得られた.
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