2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560853
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
武田 隆史 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主任研究員 (60344488)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 蛍光体 / 積層欠陥 / 希土類 / 光物性 / セラミックス |
Research Abstract |
本研究では発光中心が層状置換する従来と異なる積層欠陥型蛍光体の研究を展開させる。ウルツ型窒化アルミニウムの層間に発光中心が層状置換することが確かめられているが、発光層の数や配列など制御は困難であった。この新しいタイプの蛍光体に関して、原料や合成プロセスの変更でより多くの発光中心層ドープを行い発光強度の増大を図るとともに、窒化アルミニウム以外として炭化ケイ素を含む系にも展開することを試みる。 23年度は合成条件の変化による積層欠陥型蛍光体生成に与える影響を調べた。発光中心にEuを用いて焼成回数、焼成温度を変化させることで、Euドープ量およびEu層の存在状態も変化している様子がTEM-EDS測定から観測された。これまでEuは積層構造で存在すると考えられてきたが、Euが積層以外の構造も取り得る可能性が示唆された。対比物質である積層が規則配列した相の合成も試みた。合成条件を最適化することで、これまではTEMの局所構造分析でしか観測されなかったEu層が、平均構造分析であるXRDでも確認でき、一部混在はあるものの積層周期の異なる層の作り分けも可能となった。これまで得られていたTEM像との比較により、積層欠陥型蛍光体ではEu層は出発組成より密な部分と疎な部分に分かれる様子が解析された。 窒化アルミニウム以外としてウルツ型や閃亜鉛鉱型の炭化ケイ素原料を用いてEuやCeのドープを試みたが、生成物は発光を示さず構造中に取り込まれている様子は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発光中心が層状置換する従来と異なる積層欠陥型蛍光体の展開として、これまで困難であった発光層の数や配列制御、および窒化アルミニウム以外への展開を試みている。合成条件の変化の変化により、Eu層状態が変化することが確認できたとともに、Eu層の規則配列した相の合成も可能となり、目的の一部が達成されつつある。 窒化アルミニウム以外として炭化ケイ素に展開した系ではまだ発光は確認されていないが、適切な共添加元素により希土類の導入も可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
合成条件の大幅な変化として、従来の2000℃までの合成温度を越える、HIPを用いた高温、高圧での合成を行う。再焼成の効果も大きいと予想され、これらの焼成を組み合わせて、さらなる発光層の数や配列制御および、積層以外の構造についても調べる。炭化ケイ素系への展開では、窒化アルミニウムのときにSi共添加が必須であったように、適切な共添加元素を導入することで、炭化ケイ素への希土類の導入が可能になると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
HIPの高温、高圧合成を行うための専用のるつぼ、および伴う各種消耗品を購入する。また各種希土類原料、合成用の特殊ガスの購入にも使用する。また海外での学会参加のため旅費を計上している。
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Research Products
(4 results)