2012 Fiscal Year Research-status Report
鋳造欠陥の極めて少ない、高品位ガラス合金およびヘテロアモルファス合金の作製
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23560857
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00261511)
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Keywords | 国際情報交換 / 海外企業との共同研究 |
Research Abstract |
鋳造欠陥の少ない鋳造を実現するために、傾角鋳造法の自動化を行い鋳型や炉床の形状最適化を行った。その結果、得られた棒状のアモルファス合金は最も冷却速度の遅い上端面に於いてもアモルファス固化を示唆する鏡面を得ることに成功している。傾角鋳造法は、鋳こむ溶融合金が形状をあまり変えること無く鋳こまれていくが、炉床と鋳型の形状に連続した溝を作ることで、この動作を安定に再現することに成功している。また、外形が6mm以下の棒形状については傾鋳時の勢いを無くさないようにするため直径10mmで漏斗状の受け部分を設けることで対処している。このようにして、鋳型や炉床形状を最適化させることで、傾鋳の動作だけで安定した溶融合金の鋳型内部への供給が可能になりつつある。傾角鋳造法の自動化を実現したことで、安定した鋳造材料の供給が可能になったが、完全な自動化のためには自動供給システム、自動離型システム、自動搬出システムなど別な機構が必要で有り、それらは今後の課題である。 鋳造プロセスや湯流れに起因する鋳造欠陥は減少することが出来ても、疲労試験の結果からは疲労亀裂起点部に非常に小さいものではあるが空隙が見られることがある。平成23年度の課題として、極力ガス成分の少ない原料を吟味して前処理をしているが、これらの操作が十分でなかった可能性がある。このような欠陥について対応するのは平成25年度に挙げている製造プロセスの最適化に位置づけられ、今後は再度必要なガス税分の除去や前処理法について検討を行う。一方、Zr基のバルクアモルファス鋳造材に於いて見られる新たな問題として、現在市販されている高純度Zr金属に無視できない量の錫が偶発的に含まれることが挙げられる。錫の存在を歓迎する用途が多いため、避けがたい問題ではあるが、平成25年度では錫の影響についても可能な限り言及する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的である鋳造欠陥を無くすことは容易ではないが、材料の本質を見ることが出来る良質な鋳造材については得られつつあると考えている。明らかに、外的要因として破壊したと考えられる鋳造材料については疲労試験に於いて減りつつある。しかしながら、鋳造材の寸法を大きくすると鋳造欠陥が導入される頻度が増えることにより欠陥の制御は充分に出来ていなくなる。本研究の目的を達成するためには、当初考慮していなかった鋳造材の寸法についても充分に配慮する必要があり、現在では数ミリの直径を有する試験片について鋳造欠陥を無くすための研究を行っている。このような条件を加味して判断すれば、おおむね良好に本研究は進行しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
傾角鋳造は確かに鋳造欠陥の制御には優れた鋳造法ではあるが、鋳造材の寸法が小さくなることで問題が発生している。自重を利用して溶融合金を供給しているため小さな鋳造材を作製する事にはあまり向いていない。そこで、25年度は傾角鋳造以外のプロセスについても考慮すると共に、小型鋳造材に適した傾角鋳造機構について検討を行う。鋳造欠陥を特定するために疲労破壊の起点を観察しているが、大量の疲労試験を続けていくことが容易ではなく、共同研究者の協力の下で行っている。また、鉄基のヘテロアモルファス合金について、作製を試みては居るが疲労試験片や引張試験片を作製するための機械加工に耐えうる強靱な合金では無いため当面はガラス合金について鋳造欠陥の影響を調べていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に関しては、当初の予定通り製造プロセスとして統括的な見直しを行う。既に、傾角鋳造以外の可能性や当初予定していなかった不可避不純物に関して情報が得られており、新たな問題提起へと繋がったと同時に、関連するテーマで企業から共同研究の申し出を受けている。これを受けて研究費の使用計画として高品位のガラス合金を作製するために必要な原料費、高純度不活性ガス、実験消耗品などを購入し、今まで同様に実験を進めていく。一方、得られた研究成果を発表するために国際会議を含めた口頭発表の機会を得られるように努めていく。これは企業との接点の多くが国際会議に集中している個とも理由の一つである。本研究の推進により始まった企業との共同研究の幾つかは最終的な出口である工業製品になるものと期待している。より多くの企業との共同研究の可能性を見出していくためにも得られた成果について国際会議等で発表を行っていく予定である。
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Research Products
(9 results)