2011 Fiscal Year Research-status Report
溶融塩電析と自己組織化を利用したNb基耐熱合金への高耐酸化コーティングの創製
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23560860
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
原 基 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50156494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 倫久 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20343064)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 耐酸化コーティング / 耐熱合金 / Nb基合金 / 溶融塩電析 / Niアルミナイド / アルミナ皮膜 |
Research Abstract |
基材試料をNb-10mass% WおよびNb-20mass% W合金とし,これらの合金上にNi膜の電析後,Alの溶融塩電析を行うことにより,内層をNi層,外層をNiアルミナイド層とする2層型コーティングが形成された。基材Nb合金とNi層界面には厚さ約3μmのNiとNbから成る合金層が形成され,基材に対するコーティング層の密着性は高かった。内層のNi層の厚さを変化させるため,Niの電析時間を3.6~12.6 ksに変化させた。その結果,Ni層の厚さは5~60μmまで変化した。これらのコーティング試料を1273 Kの大気中で等温酸化試験を行った。その結果,Nb-10mass% W合金を基材試料とした場合,Niの電析時間が3.6 ksおよび5.4 ksの試料では酸化初期から著しく酸化した。これは,昇温時にNiアルミナイド層の剥離が起こったことに起因する。一方,Niの電析時間が7.2 ks以上の試料では昇温時にこのような剥離は起こらず,259.2 ksの酸化試験内でほとんど酸化しなかった。同様のNi電析時間の効果は,Nb-20mass% W合金を基材試料にした場合にも認められた。酸化試験後の試料断面を観察,分析した結果,Niの電析時間の長い試料では,表面層としてNiAlが形成され,中間層としてNiとNbから成る化合物が形成された。Niの電析時間の長い試料で高い耐酸化性を示したのは,表面層としてAl濃度の高いNiAl相が維持され,保護性の高いアルミナ皮膜の生成が維持されたことによる。長時間に渡ってNiAl相が維持されたのは,中間層として形成されたNi-Nb化合物がAlの拡散障壁層として作用したことによると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由は以下の理由による。(1)Nb-W合金を基材試料にした場合に,Ni電析とAlの溶融塩電析によりAl濃度の高いNiアルミナイド・コーティングが形成されることが明らかなった。(2)Niの電析時間を長くすることにより昇温時にNiアルミナイド層の剥離が起こらなくなり,長時間の酸化試験においても高い耐酸化性を維持することがわかった。(3)本コーティングが長時間に渡って高い耐酸化性を示す理由として,表面層にNiAl相が形成され,保護性の高いアルミナ皮膜が生成,維持されたことが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
基材試料をNb-W-Mo三元合金に変え,平成23年度と同様の方法でNiアルミナイド・コーティングを作製し,その耐酸化性を評価する。この合金上に形成されるNiアルミナイド・コーティングにおいてもNiアルミナイド直下のNi層の厚さが重要な因子となると想定されることから平成23年度と同様にNiの電析時間を変えてコーティング層を形成する。 酸化試験後の試料断面の観察と分析により,コーティングの耐酸化性発現の機構を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)Nb-W-Mo合金を作製するためのNb,W,Moの購入(2)Ni電析のための試薬の購入(3)Alの溶融塩電析のための試薬,Pt線,Ag線,ムライト管,タンマン管,石英管の購入(4)研究成果発表のための旅費
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