2012 Fiscal Year Research-status Report
溶融塩電析と自己組織化を利用したNb基耐熱合金への高耐酸化コーティングの創製
Project/Area Number |
23560860
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
原 基 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50156494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 倫久 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20343064)
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Keywords | 耐酸化コーティング |
Research Abstract |
Nb-10mass%W-5mass%Mo合金を基材とし,この合金上にNiの電解めっきを施し,さらに溶融塩を媒体にしてAlを電析することにより表面層をNiアルミナイド層,内層をNi層とする2層コーティングの作製を試みた。Niめっき時間を3.6から12.6ksに変化させた結果,Niめっき時間が5.4ks以上の試料では,表面層としてNi2Al3層,内層としてNi層から成る2層コーティングが形成された。また,Niめっき時間を長くすることによりNi層の厚さが厚くなった。これらのコーティング試料を1273Kの大気中で等温酸化試験を行った。その結果,Niめっき時間が3.6および5.4ksの試料では酸化の初期より酸化増量が増大した。これらの試料では表面層の剥離が認められた。一方,Niめっき時間が7.2ks以上の試料では表面層の剥離は起こらず,長時間の酸化試験において酸化増量は小さかった。酸化試験後,試料断面を観察,分析した結果,Niめっき時間が7.2ksの試料では表面層はNiAl相により構成され,中間層としてNi3NbおよびNi6Nb7相の形成が認められた。Niめっき時間が12.6ksの試料においても,表面層がNiAl相により構成されることがわかった。この試料では中間層は厚くなり,表面側からNi3Al層,Ni固溶体相とNi3Al相の混合層,Ni3Nb相とAlNi3Nb相の混合層,Ni3Nb相とNi6Nb7相の混合層,Ni6Nb7相とNb固溶体相の混合層より構成された。このような化学組成の傾斜性を有する中間層は,酸化試験終了後の冷却時における表面層にかかる熱応力を低下し,表面層の剥離を抑えた。Niめっき時間の長い試料が高い耐酸化性を示したのは,表面層としてNiAl層が維持されたことに因る。これは,中間層として形成されたNi-Nb化合物層がAlの拡散障壁層として作用したことに起因する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)Nb-W-Mo合金基材試料について,NiめっきとAlの溶融塩電析により,Ni2Al3から成る表面層を形成することに成功した。さらに,Niめっき時間を長くすることにより中間層としてNi層を残存させることができ,この層を厚くすることができた。 (2)Nb-W-Mo合金基材試料において,中間層のNi層を厚くすることにより,昇温時に起こる表面層の剥離を抑えることができるようになり,長時間の酸化試験において高耐酸化性を発現させることに成功した。 (3)酸化試験中,長時間に渡って表面層としてNiAl相が生成,維持され,これより高い耐酸化性が発現することがわかった。中間層のNi層は基材合金と反応し,NbNi3相およびNb7Ni6相から成る中間層に変化した。これらの中間層はAlの拡散障壁層として作用し,表面層の高Al化の維持に寄与した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から,基材合金の違いに依らず,NiめっきとAlの溶融塩電析によりNi2Al3表面層/Ni中間層の2層コーティングが形成され,これらは酸化過程でNiAl相から成る表面層とNi-Nb化合物から成る中間層に変化することがわかった。本コーティングが高耐酸化性を発現したのは,Ni-Nb化合物層がNiAl表面層からのAlの内方拡散を抑えることによりNiAl層を維持させたことによると考えられた。今後は,このことを立証するために,Niアルミナイド(Ni3AlおよびNiAl)とNi-Nb化合物(Ni3NbおよびNi6Nb7)の拡散対を作り,高温環境下で拡散実験を行い,Ni-Nb化合物のAlの拡散障壁機能について評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)NiアルミナイドおよびNi-Nb化合物を溶製するための,Ni,Al,Nbの購入。 (2)拡散用試料作製のための切断用砥石の購入。 (3)拡散用試料の表面の調整のための,研磨紙の購入。 (4)断面観察試料の作製のための,研磨剤の購入。 (5)拡散実験に必要な石英管,セラミックス材の購入。 (6)研究成果を学会で発表するための旅費。
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Research Products
(1 results)