2012 Fiscal Year Research-status Report
次世代プラズマMIGハイブリッド溶接の知的自動制御に関する基礎研究
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23560862
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山根 敏 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10191363)
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Keywords | キーホール溶接 / 視覚化 / CCDカメラ / ハイブリッド溶接 / 溶融池 / 画像処理 |
Research Abstract |
不活性シールドガス下において、一般的な鋼の突合せ溶接を行うと酸素がないために、アークが不安定となる。そこで、プラズマ電源とMIG電源を組み合わせて、ハイブリッド溶接の基礎実験を行った。プラズマ電極を先行とし、MIG電極を後行とした。両電源の極性がアーク現象に与える影響を調べた。まず、両電源から出力された電流が母材を通して、電源に帰還するように、両電極の極性を負極性に設定した。これにより、2電極に流れる電流による電磁力が極間で上向きに強く働いた。この結果、溶滴が溶融池に移行せずに、上方へと押し上げられ、プラズマノズルに溶滴が付着し、ノズルが損傷した。そこで、MIG電源側の電極極性を正極性にした。この場合、プラズマ電源の電極極性が負極性であるので、MIG電源から流れた一部の電流がプラズマ電源側に空間を通じて流れ込むと考えれる。この分だけ母材への入熱は減少するが、これは空間を通じて流れているのでアーク電流に相当している。このため、MIG電極のアーク状態は単独で用いる場合より安定した。また、2電極に流れる電流の方向は反対であるので、MIG電極の溶滴には反発力が働く。一方電流は母材とプラズマ電源側に流れるので、プラズマジェット気流と電磁力の作用の結果、溶滴は溶融池方向に移行すると考えられ、これを高速度ビデオカメラを用いて詳細に調査し、確認した。 また、プラズマ電源からの電気雑音に対応するために、カメラLink式のCCDカメラを導入した。これにより、進行方向前方から明瞭に溶融池を撮影することができ、画像処理の精度も向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各電極の極性と極間距離が溶滴移行およびキーホール形成に与える影響が予想していたよりも大きかったため、溶接状態を推定するのに時間がかかった。また、この基礎実験において、プラズマノズルの損傷などが生じ、この対策にも時間が割かれた。MATLABを用いてdsPICの制御を試みたが、実行速度が遅くなるので、この手法を断念してC言語で直接プログラムを作成した。この作成にも時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.溶融池前方形状からのプラズマ電極の高さ、溶接線倣いはほぼ完了したので、溶接時のキーホールを溶接面の表面から観察し、その大きさを計測する。 2.キーホールの大きさの制御方法について検討する。 3.電磁力の影響を明らかにするために、アーク形状を仮定し、Maxwellの電磁方程式に基づいた数値シミュレーションを行う。 4.アーク長を制御して、MIG溶接の溶着量を増加させる方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オンラインで画像処理を効率良く行うためにMATLABのComputer Vision ToolBoxを導入する。ハイブリッド溶接の研究成果を国際会議で報告する。
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