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2012 Fiscal Year Research-status Report

ガスタービン長寿命化のための新しい遮熱溶射皮膜の開発

Research Project

Project/Area Number 23560863
Research InstitutionUniversity of Yamanashi

Principal Investigator

園家 啓嗣  山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80550805)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 石田 和義  山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (70324176)
中村 正信  山梨大学, 医学工学総合研究部, 助手 (00155855)
Keywords断熱溶射皮膜
Research Abstract

新しい遮熱溶射皮膜の寿命が、従来型遮熱皮膜よりも延伸されるメカニズムを詳細に究明するため、予き裂挿入試験片を1000℃で100時間保持することにより酸化させ、マトリックス及びき裂部の析出物をEPMAによって解析した。その結果、寿命延伸のメカニズムが明らかになり、以下のごとくである。
1.皮膜マトリックスにはMo及びSiが認められたのに対して、開口したき裂内部にはSiのみが認められたことから、き裂部内にはSiO2膜が形成されたと判断される。このことから、酸化処理した皮膜内に潜在的に存在する微小き裂は、その内面に沿ってSiO2膜が析出していくことが分かった。
2.従来型の2層遮熱溶射皮膜の場合のはく離のメカニズムは、高温では大気中から主に貫通き裂(気孔)等を通して酸素がボンドコートへ侵入してNiCrAlYが酸化する。その結果トップコートとの境界にTGO(Al2O3層)が生成し、TGOが成長すると脆くなり熱応力を伴うためTGOに沿ってはく離が生じる。
3.新しい遮熱溶射皮膜の場合、中間層に導入したMoSi2とNiCrAlYとの混合皮膜の酸化により形成される緻密なSiO2は、トップコートと中間層の境界にも部分的に析出するが、中間層のき裂(気孔)等の内面に析出、封孔する。その自己修復メカニズムは、き裂発生形態としてTGO生成により生じる圧縮熱応力によってボンドコートと中間層の境界近傍に皮膜と平行に発生する場合(ケースI)、及び熱サイクルにより生じる引張熱応力によってトップコートの既存の縦方向のき裂が中間層へ伝播する場合(ケースII)が考えられるが、いずれの場合も、高温でMoSi2の酸化により緻密で保護性のあるSiO2皮膜が形成されてき裂(気孔)等の内面に析出し、ボンドコートへの大気からの酸素浸入を抑える。その結果TGOの発生成長が抑えられ、熱サイクル寿命が延伸する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新しい3層構造の遮熱溶射皮膜の寿命が、従来型遮熱皮膜よりも延伸されるメカニズムを究明することが目標であった。
今回、予き裂挿入試験片を1000℃で100時間保持することにより酸化させ、マトリックス及びき裂部の析出物をEPMAによって解析し、寿命延伸のメカニズムが下記のごとくであることを明らかにした。
寿命延伸メカニズム:
新しい遮熱溶射皮膜の場合、中間層に導入したMoSi2とNiCrAlYとの混合皮膜の酸化により形成される緻密なSiO2は、トップコートと中間層の境界にも部分的に析出するが、中間層のき裂(気孔)等の内面に析出、封孔する。その自己修復メカニズムは、き裂発生形態としてTGO生成により生じる圧縮熱応力によってボンドコートと中間層の境界近傍に皮膜と平行に発生する場合(ケースI)、及び熱サイクルにより生じる引張熱応力によってトップコートの既存の縦方向のき裂が中間層へ伝播する場合(ケースII)が考えられるが、いずれの場合も、高温でMoSi2の酸化により緻密で保護性のあるSiO2皮膜が形成されてき裂(気孔)等の内面に析出し、ボンドコートへの大気からの酸素浸入を抑える。その結果TGOの発生成長が抑えられ、熱サイクル寿命が延伸する。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究推進方策は下記の通りである。
(1)新手法の遮熱特性の確認:新しい遮熱溶射皮膜(3層構造)の遮熱性を測定し、従来型遮熱溶射皮膜(2層構造)と同等の遮熱性(熱を遮断できる性能:100℃程度)を有することを確認する。(2)新手法の特許申請及び成果発表、PR:新しい遮熱溶射皮膜の性能が優れていることが確認できたら、他の研究機関に先駆けて新手法を特許化(材料と皮膜構成のみでも可)する。更に、この成果を日本機械学会や国際会議等で論文発表し、また新聞発表によって新手法を広くPRする。(3)新手法のガスタービンへの適用化検討:
次のステップとしては、ガスタービンメーカーの実機ガスタービン動・静翼に新しい遮熱溶射皮膜を適用して、実証試験することも検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度予定していた寿命延伸のメカニズム解明が比較的スムーズに進んだため、溶射材料などの消耗品が少なくて済んだので来年度への繰り越し金が生じた。
次年度は、新しい3層構造の遮熱溶射皮膜の遮熱性を確認するために、また、研究成果をPRするために研究費を以下ごとく使用する。
(1)溶射材料購入:溶射サンプルを作製するため、MoSi2、ZrO2+8%YO2、CoNiCrAlY粉末を購入する。(2)熱サイクル試験装置の備品購入:プラグ点火装置、ガスバーナ、熱電対を購入する。(3)交通費:研究成果を溶射学会(東京)で発表するために、交通費として使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] ピストンの遮熱溶射技術の開発2013

    • Author(s)
      園家啓嗣、関根優志
    • Organizer
      機械学会
    • Place of Presentation
      首都大学東京(東京都)
    • Year and Date
      20130316-20130316
  • [Presentation] 高温部材における耐熱溶射皮膜の評価2013

    • Author(s)
      園家啓嗣、杉本知弘
    • Organizer
      機械学会
    • Place of Presentation
      首都大学東京(東京都)
    • Year and Date
      20130316-20130316
  • [Presentation] Assessment of the microstructure of the self-fluxed alloy sprayed coatings re-melted by high frequency induction heating2012

    • Author(s)
      Keiji Sonoya
    • Organizer
      第5回アジア溶射会議(ATSC2012)
    • Place of Presentation
      つくば国際会議場(つくば市)
    • Year and Date
      20121127-20121127

URL: 

Published: 2014-07-24  

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