2011 Fiscal Year Research-status Report
エピタキシャル成長したビスマス層状構造強誘電体ナノプレートの創製と応用
Project/Area Number |
23560874
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小舟 正文 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (90240960)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 薄膜プロセス |
Research Abstract |
ビスマス層状構造強誘電体(BLSF)/基板間の格子ミスマッチ、引張応力及びBLSFの熱膨張係数の軸異方性を利用して導電性基板上にエピタキシャルなa/b軸配向強誘電体ナノプレートを形成させる。また、n型熱電半導体であるNb:TiO2基板の性質を利用して薄膜合成過程において難焼結材料であるBLSFの結晶化を著しく促進させる。以上の目的をもって研究計画に基づき研究を行い、下記に示す成果を得た。(1) Bi3.25Nd0.75Ti3O12(BNT-0.75)組成に対し、高温スパッタ過程で膜表面から再蒸発するBiを補償するため、Bi過剰を考慮に入れたスパッタターゲットの材料設計を検討した。至適なBi2O3過剰量が内割りで30 mol%であることを見出した。(2) 高温スパッタ法により粉末ターゲットを用いて、NbドープTiO2(101)基板(Nb = 0.001-0.79 mass%)上にヘテロエピタキシャルにa/b軸配向したBNTナノプレート創製のための至適な高温スパッタ条件を検討した。なお、Nb = 0.79 mass%を超えるドープ量の場合、ベルヌーイ法によるNb:TiO2融液の粘度が極端に低下したため、単結晶育成が困難であった。よって、上記範囲のNbドープ品を基板に用いて行った。至適なスパッタ条件が基板加熱温度(650℃)、ガス混合比(Ar/O2 = 90/10)、ガス圧(0.4 Pa)、成膜速度(9.0 nm/min)であることを見出した。(3) 得られたナノプレートの結晶相、格子定数、結晶性、面内配向性及び極点図形の測定は薄膜X線回折装置を用いて行った。全試料は96.2-99.9%の高いa/b軸配向性を示した。XRD及び極点図形結果に基づき、Nb = 0.46と0.79 mass%ドープした基板上のBNTナノプレートがヘテロエピタキシャル成長していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温スパッタ法により高品質なビスマス層状構造強誘電体ナノプレートを作製し、その至適な作製条件を明らかにする点については、所期の目的を達成している。また、研究計画通り、着実に実験を行い、得られたBNTナノプレートの構造特性についても明らかにすることができた。以上のことから、本研究は計画通り順調に推移している。現時点では「研究の目的」の約50%を達成していると考えている。24年度に実施する微細構造(HRTEM)観察や電気特性(強誘電性、リーク電流密度ー電界特性、圧電性)評価を30%とし、25年度に実施する超音波トランスデューサ(複合体)の作製と特性評価を20%と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ、研究計画通り順調に推移しているので、今後も研究計画に沿って着実に研究成果をあげていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スパッタ装置の補修部品(ロータリ真空ポンプ、基板加熱ヒータ)等が予想以上に長期にわたり使用できたので、備品費や消耗品費を低く抑えることができた。このことが次年度使用額として残すことができた要因である。しかしながら、24年度では確実にそれらの交換が必要となってくるので、当初の研究費の使用計画とほぼ一致した研究経費の執行となると考えている。
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Research Products
(5 results)