2011 Fiscal Year Research-status Report
生分解性樹脂へのアモルファス炭素ナノ薄膜付与とその終末処理の試み
Project/Area Number |
23560877
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
矢ケ崎 隆義 工学院大学, 工学部, 教授 (30146732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 雄二 工学院大学, 工学部, 教授 (90107160)
鷹野 一朗 工学院大学, 工学部, 教授 (70226801)
桑折 仁 工学院大学, 工学部, 准教授 (70327724)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イオンビーム照射 / 自体炭化ナノ改質膜 / 炭素ナノ堆積膜 / アモルファス炭素薄膜 / 加水分解 / 酵素分解 / 生分解性樹脂 |
Research Abstract |
本申請研究は、環境に対する負荷を飛躍的に軽減出来得る電気・電子用基板材料の開発、およびその廃棄物の処理技術の獲得を目的として開始した。具体的には、(1)生分解性樹脂基板表面でのアモルファス炭素ナノ薄膜の形成条件の確立、(2)生分解性樹脂と同薄膜との付着力の向上、(3)電気的特性(半導体領域)の確保、等を実現することを試みることである。併せて、(4)基板および薄膜の両者について最終処理段階での分解挙動を精査して最適生分解環境条件を明確にすることを試みることである。尚、最終的には、(1)~(4)の実施を通して、生分解性樹脂材料へのアモルファス炭素ナノ薄膜を付与する技術を獲得すると共に、同薄膜付与材料の分解挙動の精査に基づく合理的な終末処理技術を確立、廃棄物処理システムを提案することになる。計画初年度である平成23年度は、(1)の内、特に生分解性樹脂表面へのイオンビーム照射による自体炭化ナノ改質層及びイオンビーム照射による各種炭化水素ガスの熱分解による炭素ナノ堆積膜の生成条件の確定に向けた精査、(2)両薄膜の基板との接着力の評価、(4)両薄膜付与材料の加水分解処理実験の遂行と酵素分解処理実験の条件確定に向けた基礎実験を開始することに専念した。その結果、(1)については、自体炭化ナノ改質層の生成条件及びイオンガス種の違いがもたらす薄膜の微細構造と物性とについて検討を加えるに至った。尚、炭化水素ガスの熱分解による炭素ナノ堆積膜については、ガス種による形成条件について精査の途上にある。(2)については、主として自体炭化ナノ改質層の接着強度を測定するに至った。今後、系統的な創製及びその精査に入る。(4)については、主として自体炭化ナノ改質層を付与した生分解性樹脂の加水分解処理を終えた。また、23年度の申請備品である『酵素分解処理実験装置』の既製品の改良設計を経て発注、納入された同装置の運転条件等の確認を終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境に対する負荷を飛躍的に軽減出来得る電気・電子用基板材料の開発、およびその廃棄物の処理技術の獲得を目的として、(1)生分解性樹脂基板表面でのアモルファス炭素ナノ薄膜の形成条件の確立、(2)生分解性樹脂と同薄膜との付着力の向上、(3)電気的特性(半導体領域)の確保、(4)基板および薄膜の両者について最終処理段階での分解挙動を精査して最適生分解環境条件を明確にすること等を主として推進した。計画初年度である平成23年度は、(1)の内、特に生分解性樹脂表面へのイオンビーム照射による自体炭化ナノ改質層及びイオンビーム照射による各種炭化水素ガスの熱分解による炭素ナノ堆積膜の生成条件の確定に向けた精査、加えて(2)両薄膜の基板との接着力の評価、(4)両薄膜付与材料の加水分解処理実験の遂行と酵素分解処理実験の条件確定に向け研究を展開した。尚、研究計画調書に記載した実験計画に比して、(1)の自体炭化ナノ改質層については当初の計画以上に進展、炭素ナノ堆積膜については75%の進捗状況である。展開遅延の理由は、大電流イオン注入装置の電極の故障に起因する。現在、遅れを取り戻しつつある。加えて、自体炭化ナノ改質層の生成条件及びイオンガス種の違いがもたらす薄膜の微細構造と物性とについて検討を加えるに至った。尚、炭化水素ガスの熱分解による炭素ナノ堆積膜については、ガス種による形成条件については精査の途上にある。(2)については、主として自体炭化ナノ改質層の接着強度を測定するに至った。今後、系統的な創製及びその精査に入る。おおむね順調に進展している。(4)については、主として自体炭化ナノ改質層を付与した生分解性樹脂の加水分解処理を予定通り終えた。また、23年度の申請備品である『酵素分解処理実験装置』の既製品の改良設計を終え発注、現在、納入された同装置の運転条件等を精査中である。これも予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の実験結果の精査を続けると共に、自体炭化ナノ改質層、炭素堆積ナノ膜をそれぞれ付与したポリ乳酸系樹脂基板表面を対象として、微視組織学的観点から薄膜部の微細構造と化学組成とを電界放射型走査電子顕微鏡、レーザ顕微鏡等を用いて観察すること、さらにX線回折装置、EDX、ラマン分光器、FT-IR、熱重量分析、ESCA等を用いて分析・解析することを通し、電気・電子用基板システムとしての機能性の評価を試みる。これらを通して、薄膜の形成の最適条件を決定する。次に、基板材料とする生分解性樹脂の対象を拡げ、ポリ乳酸系樹脂に加えて、例えば他の合成系樹脂、更には微生物による樹脂、澱粉の添加によって生産される樹脂、多糖類の樹脂、天然系の樹脂等、特徴のある樹脂への薄膜の付与を試みる。さらに、それらの最適条件を精査することによって、本申請研究の遂行により実現する電気・電子用基板を想定したアモルファスナノ薄膜付与材料の汎用性を検証する。併せ、自体炭化ナノ改質層および炭素ナノ堆積膜を付与したポリ乳酸系の生分解性樹脂基板材料の廃棄物の最終処理を想定し、これらナノ薄膜付与材料に対し有効な損傷をもたらす加水分解の過程を、分解ガス分離装置を用いて精査する。さらに、酵素の生分解過程を、分解ガス分離装置とDNA測定装置等を用いて精査する。尚、酵素による反応速度は、酵素濃度が低い場合には酵素量に、酵素濃度が高い場合には生分解樹脂量に依存すると考え得ることから、分解最適酵素濃度を求めるために、その効果を確認した酵素の濃度を1wt.%より順次高濃度側へ移行する分解実験を恒温恒湿槽内にて実施、分解に最適な酵素濃度を決定する。これらの結果を基に、実機として下水道汚泥の堆肥化システム中のラインに生分解性樹脂基板の分解処理システムを組み込むために、堆肥化処理システムの各ラインでの酵素の活着に関わる予備実験を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上欄に記載した様に、ポリ乳酸を基板とする炭素薄膜付与材料の基板表面と薄膜の接合面近傍の微細構造と化学組成とを精査すること、及び電気・電子用基板としての汎用性を拡げることおよびそれらの終末処理を目指して、各種実験を遂行することになる。そのために、申請している研究費を、主として次の物品の購入等に充てる。(1)生分解性樹脂基板T.P.加工費、(2)DNA同定用薬品・消耗品費、(3)質量分析・表面分析用等薬品費、(4)各種機能評価用消耗品費、(5)環境調整・制御用薬品・消耗品費、(6)試験培地購入品、(7)電極材料購入品費、である。尚、学協会での研究成果の発表、及び調査にかかわるについては出来得る限り所属機関の旅費を用いる努力をするが、支弁の可能性がある。
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Research Products
(1 results)