2012 Fiscal Year Research-status Report
生分解性樹脂へのアモルファス炭素ナノ薄膜付与とその終末処理の試み
Project/Area Number |
23560877
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
矢ケ崎 隆義 工学院大学, 工学部, 教授 (30146732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 雄二 工学院大学, 工学部, 教授 (90107160)
鷹野 一朗 工学院大学, 工学部, 教授 (70226801)
桑折 仁 工学院大学, 工学部, 准教授 (70327724)
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Keywords | 生分解性樹脂基板 / イオンビーム照射 / アモルファス炭化薄膜 / 炭素堆積層 / 自体炭化層 / 終末処理 / 加水分解処理 / 酵素分解処理 |
Research Abstract |
本申請研究は、環境に対する負荷を飛躍的に軽減出来得る電気・電子用基板材料の開発、およびその基板の利用後の廃棄物処理技術の獲得を目的として展開している。具体的には、①生分解性樹脂基板表面でのアモルファス炭素ナノ薄膜の形成条件の確立、②創製したアモルファス炭素薄膜の電気的特性(半導体領域)およびその他の物性の確認、③生分解性樹脂上に形成した炭素ナノ薄膜と金属薄膜との付着性能の向上、等を実現することを試みるものである。併せ、④金属薄膜、アモルファス炭素薄膜が付与された生分解性樹脂基板について最終処理段階での分解処理挙動を精査して最適性分解環境条件等を明確にすることを試みることである。尚、最終的には、①から④の実施を通して、生分解性樹脂基板材料へのアモルファス炭素ナノ薄膜を付与する技術を獲得すると共に、同薄膜付与基板材料の分解挙動の精査に基づく合理的な終末処理技術を確立、廃棄物処理システムを提案することになる。 計画の2年目である平成24年度は、初年度の平成23年度の結果を受け、①の内、特に生分解性樹脂表面へのイオンビーム照射により形成される自体炭化ナノ改質薄膜層の生成条件を精査、まとめることに力点を置いて展開した。また、②については、電気的特性の把握に加え、ガスバリア性能の確認を試み、同自体炭化ナノ改質薄膜層付与生分解性樹脂基板の劣悪環境下での適用の可能性についも確認した。③では、自体炭化ナノ改質薄膜層の生成条件と生分解性樹脂との密着性能の評価を試みた上で、金属薄膜の付与を開始した。さらに④では、薄膜付与生分解性樹脂基板の加水分解処理実験の遂行と酵素分解処理実験の条件把握に向けた基礎実験を遂行した。 その結果、①について自体炭化ナノ薄膜層の形成条件をほぼ確立、②ではガスバリア性能の存在を確認、③について密着性の定量把握に至り、④では加水分解に加え酵素分解処理の技術獲得に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目となる平成24年度は、環境に対する負荷を飛躍的に軽減出来得る電気・電子用基板材料の開発およびその基板の利用後の廃棄物処理技術の獲得を目的として、最終的に生分解性樹脂基板材料へのアモルファス炭素ナノ薄膜を付与する技術を獲得すると共に同薄膜付与基板材料の分解挙動の精査に基づく合理的な終末処理技術を確立し、廃棄物処理システムを提案するために、①生分解性樹脂基板表面でのアモルファス炭素ナノ薄膜の形成条件の確立、②創製したアモルファス炭素薄膜の電気的特性(半導体領域)およびその他の物性の確認、③生分解性樹脂上に形成した炭素ナノ薄膜と金属薄膜との付着性能の向上、等を実現することを試みた。併せ、④金属薄膜、アモルファス炭素薄膜が付与された生分解性樹脂基板について最終処理段階での分解処理挙動を精査して最適性分解環境条件等を明確にすることを試みた。特に、初年度の平成23年度の結果を受け、①の内、生分解性樹脂表面へのイオンビーム照射により形成される自体炭化ナノ改質薄膜層の生成条件を精査、まとめることに力点を置いて展開した。また、②については、電気的特性の把握に加え、ガスバリア性能の確認を試み、同自体炭化ナノ改質薄膜層付与生分解性樹脂基板の劣悪環境下での適用の可能性についも確認した。③では、自体炭化ナノ改質薄膜層の生成条件と生分解性樹脂との密着性能の評価を試みた上で、金属薄膜の付与を開始した。さらに④では、薄膜付与生分解性樹脂基板の加水分解処理実験の遂行と酵素分解処理実験の条件把握に向けた基礎実験を遂行した。 その結果、①については自体炭化ナノ薄膜層の形成条件をほぼ確立した上で、②ではガスバリア性能の存在を確認、③について密着性の定量把握に至り、④では加水分解に加え酵素分解処理の技術獲得に至った。いずれも当初設定した計画にほぼ合致しており、25年度の研究に向け極めて順調な展開である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実験結果の精査及び追加実験を続けると共に、25年度は炭化製膜について自体炭化アモルファスナノ薄膜層から炭化水素ガスの熱分解によるアモルファス炭素堆積薄膜の創製に軸足を移すことになる。一方、生分解性樹脂基板の微細構造の変化が自体炭化アモルファスナノ改質薄膜層、或いは炭素薄膜の形成、及び接着力に及ぼす影響等を精査する微視組織学的な研究を本格的に開始する。 具体的には、①密着性の高い金属薄膜の付与を目指し、生分解性樹脂基板の上に炭化水素ガスを熱分解してアモルファスナノ薄膜を堆積した上でTi薄膜の接着力を測定、自体炭化アモルファスナノ薄膜層でのそれと比較・精査する。この際、炭化アモルファスナノ薄膜中に含まれる水素ガスの量が膜の柔軟性をもたらすとされることから、併せ、水素含有量の異なる炭化水素ガスの熱分解・堆積を試み、その特性を把握、精査する。また、生分解性樹脂基板への実機適用を想定して、生分解性樹脂の機械的強度を向上させるために②基板とする生分解樹脂のアニーリング処理による結晶化度の調整・制御を試みる実験、及び③基板とする生分解樹脂とは異なる生分解性ポリマーの複合化によるアロイ化処理にかかわる実験を本格化する。さらに、④これらの微細構造制御を施した生分解性樹脂基板へのイオンビーム照射がその微細組織形態等にどのような影響を及ぼすのかを確認、加えて⑤その微細組織の変化が金属薄膜の付着力にどのような影響を及ぼすのかを把握する。併せ、①から⑤にて得られた各種の材料システムについて、終末処理手法の確立を念頭にした加水分解処理実験及び酵素分解処理実験を遂行する。さらに、実機として下水道汚泥の堆肥化システム中のラインに組み込むために、同処理システムの各ラインを想定した酵素の活着にかかわる実験を開始する。尚、金属薄膜については、Ti薄膜に加え他の金属薄膜付与を試みる実験を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上欄に記載したように、環境低負荷型の電気・電子用基板への適用を想定した生分解性樹脂を基板とする金属薄膜+アモルファス炭素ナノ薄膜付与材料について、①生分解性樹脂基板の表面と炭素アモルファスナノ薄膜、炭素アモルファスナノ薄膜と金属薄膜との間での接着力の評価、そして②生分解性樹脂基板の微細構造の変化(アニーリング処理、アロイ化処理による微細組織の調整)が金属薄膜の接着力に及ぼす影響、さらに、これらの③これらの金属・炭素ナノ薄膜・生分解性樹脂基板により構成される材料システムの終末処理技術の確立、等を目指して各種実験を遂行することになる。そのために、申請している研究費を主として次に示す物品の購入等に充てる。 (1)各種生分解性樹脂基板用試験片素材料(ペレット)、(2)酵素分解用各種消耗品、(3)質量分析・表面分析用薬品費、(4)電気特性測定用電極、(5)分解試験用試験培地素材、また、最終年度となるため、(6)成果報告書の作成にも支弁する。尚、学協会での研究成果の発表及び調査にかかわる費用については、出来る限り所属機関の予算を用いる努力をする。
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Research Products
(9 results)