2011 Fiscal Year Research-status Report
炭窒化物分散析出強化型窒素固溶マルテンサイトを基地としたDLC成膜複合表面改質
Project/Area Number |
23560881
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 陽一 仙台高等専門学校, マテリアル環境工学科, 教授 (60515154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 進 仙台高等専門学校, マテリアル環境工学科, 准教授 (30390389)
浅田 格 仙台高等専門学校, マテリアル環境工学科, 准教授 (20300519)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 表面改質 / 浸炭窒化 / 炭窒化物 / 窒素 / DLC |
Research Abstract |
(1)φ27mm以下の円柱試験片を処理できるミニ真空熱処理実験炉の基本モジュール(縦型電気炉,試料急冷装置)を設計・製作した.実験に必要な高真空排気系と雰囲気ガス供給系は次年度に製作・設置予定である.(2)機械構造用低合金鋼として高シリコンCr-Mo鋼を用い,量産型大型真空浸炭炉を借用して,真空浸炭窒化焼入れ処理を行った.浸炭にはアセチレンガスを窒化にはアンモニアガスを用いたが表面侵入量を制御することは容易ではなかったが,窒素量では,0.40%と0.55%の二水準の処理が実施できた.表面の焼入れ層のミクロ組織を調べるとともに,二円筒式のローラーピッティング試験を実施して面圧疲れ寿命の予備実験を行った.XRD解析の結果,窒素マルテンサイトには,焼入れままから焼戻しによってε,γ'窒化物相が同定できた.また,残留γ相の存在も確認されており,今後EPMAやEBDSによる相の分布状況を調べる予定である.面圧疲れ試験の結果では,侵入窒素量の増加によって寿命が向上することが改めて確認できた.さらにイオンガンやPBII法によるDLC被膜処理も予備実験的に実施した結果,浸炭に比し窒素を侵入させた処理の方が密着性が優れるなどの性質が見られた.窒素の役割を解明するには,さらにその存在形態を明らかにする必要がある.(3)窒素の存在形態,すなわち固溶量,窒化物の種類や体積率の変化などによって影響される材料的特性(硬さ,衝撃強さ,疲れ強さ,焼戻し特性)を詳しく調べる予定である.ミニ熱処理炉を用いて,窒素量の制御だけでなく,焼入れの冷却速度(冷媒の変更)を制御して,組織制御を試みる計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究に必要な実験炉の製作について,設計段階で必要な予備実験が,震災復旧業務で遅れが生じた.対策として,予備実験を簡素化するともに,企業からの支援を受けて装置を借用して実施した.また,製作予定装置の構成ユニットの既製品率を増やし,研究経費の前倒し申請が採択されたため,かなり挽回ができ装置の基本モジュールと急冷機構装置は今年度に製作設置が完了できた.しかしながら,試験片準備やガス手配が間に合わなかったことからこの装置を用いた基礎実験実施にまでは至らず,当初計画に比べて数か月程度の遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度導入したミニ熱処理実験装置を用いて実験をスタートする.実験は,制御系の仕様を確定させ装置を完成させるための予備的実験を行った後,窒素侵入本実験を実施する.侵入窒素量を制御した焼入れ実験を行い,詳細な組織解析を実施する.特にεやγ’窒化物,窒素固溶マルテンサイト・残留γ相の形態を詳しく調べる.さらにDLC成膜を実施し,その密着性を調べると共に,摩擦摩耗特性や面圧疲れ特性の評価を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置の真空排気系および雰囲気ガス導入・排出系の設計設置:\600,000実験用材料およびガス類,消耗品の購入:\300,000国内旅費:\200,000
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