2012 Fiscal Year Research-status Report
炭窒化物分散析出強化型窒素固溶マルテンサイトを基地としたDLC成膜複合表面改質
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23560881
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 陽一 仙台高等専門学校, その他部局等, その他 (60515154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 進 仙台高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30390389)
浅田 格 仙台高等専門学校, その他部局等, 教授 (20300519)
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Keywords | 表面改質 |
Research Abstract |
(1)φ27mm以下の円柱試験片用の熱処理実験炉について,真空排気系を設計設置し,またアンモニアガス導入配管の他,流量を制御するためマスフローコントローラを設計設置すると共に,減圧窒化処理室と焼入れ槽をゲートバルブによる開閉構造とした.これにより,小試験片を用い,精密に窒化ポテンシャルを制御することができ,その後の焼入れや冷却を制御した窒素固溶相と析出相を制御できる実験装置となった. (2)予備実験として,クロム鋼(SCr420H)を用い,580℃,アンモニア導入量20ミリリットル/min,処理時間1~6hで窒化徐冷を行い表面形成組織の詳細な解析を行った.その結果,内部硬さ200HVに対し化合物層硬さ710HVが得られ,また,ε窒化物は窒素固溶量の増加に応じて格子定数が増加していることが分かった.このことは硬さだけでなく残留応力値にも影響を与えていることが推測される.さらに,化合物層中には,Cr系化合物(窒化物,酸化物)やMn系化合物が析出しており,これらが表面化合物層の機械的性質に大きく影響を与えていると思われる. (3)PBII&D(プラズマ窒素イオン注入法)による窒素ガスを用いて窒素イオン注入を試みた.下地相として,昨年度作成した減圧浸炭窒化焼入れ相(表面の窒素浸入量は0.4%)を利用した.0.4%Nからさらに約3%程度まで窒素イオンを浸入させることが可能で,処理時間tとは,表面窒素濃度N%=0.894√t-1.292(t≧3h)なる関係にあることなどが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に研究分担者の追加,経費前倒し許可をいただいたため,初年度の遅れをかなり挽回し,実験設備の制作や改良がほぼ予定通り進捗した.ただ,予備実験過程で生じたリーク箇所の修理,ガス流量制御のためマスフローコントローラなどの納期が遅れたことから,窒素制御による組織制御実験に遅れが生じている.このことについては,昨年度作成した減圧浸炭窒化処理試験片を用いて,予定していたPBII&D法による実験を追加実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ミニ窒化実験炉を用い,窒素ポテンシャルを制御して窒素浸入量を可変させると同時に冷却速度や冷却パターンを制御して化合物相の構造や析出物の種類・量・形態を制御する.用いる材料は純鉄,炭素鋼,低合金鋼を用いる.解析手法は,光顕,SEM,XRD,EPMA,GDS,TEMを活用する. (2)PBII&D法による窒素イオン注入ならびにDLCコーティングを実施し,上記の様々の下地相から硬さ・密着性・残留応力,膜厚などの観点で最適化を目指す.合わせて特性や機能を生むメカニズム解明に挑む. (3)摩擦摩耗試験から摩擦係数,耐摩耗性を,動力循環式歯車試験から耐ピッチング性,耐摩耗性,耐熱性を評価する.(2)項計画とリンクして現象解明を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用鋼材および雰囲気ガス,そのた消耗品購入費;¥80,000 試験片加工費;¥80,000 外注分析費;¥100,000 国内旅費;¥40,000
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