2011 Fiscal Year Research-status Report
テラヘルツ帯オーダー高周波デバイスのPTFEプリント回路基板の開発
Project/Area Number |
23560888
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Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴原 正文 兵庫県立工業技術センター, ものづくり開発部, 主任研究員 (80470219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 幸司 兵庫県立工業技術センター, 材料技術部, 研究員 (20553085)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高周波 / プリント回路基板 / PTFEシート / 銅被膜 / 平滑化 / 密着強度 / 大気圧プラズマ / 表面改質 |
Research Abstract |
本研究では、将来、高周波デバイスを100ギガヘルツ~テラヘルツ帯オーダーの動作周波数で高速駆動させる際に必要不可欠となるプリント回路基板として、誘電率・誘電正接・耐熱性に優れるPTFEシートをフレキシブル基板として適用することを目的とする。 当該高周波を伝播するプリント回路の銅被膜には、銅被膜表面の平滑化ならびにPTFEシートとの密着強度が求められる。銅被膜表面はPTFEシート表面の平滑性に大きく影響され、銅被膜の密着強度はPTFEシート表面の親水性官能基の生成密度に大きく影響される。 本年度は、大気圧プラズマ処理をPTFEシートに施すことで、上記2項目の改善が可能かを検討した。大気圧プラズマ処理は、大気開放下で長尺状電極に高周波印加して発生させたプラズマを使用した。励起ガスに希釈される反応ガスの組成を変えることによって、以下の結果を得た。(1)励起ガスによるプラズマ処理では、PTFEシート表面には化学的作用による親水性官能基の生成が顕著に認められたが、物理的作用による残渣除去はほとんど観察されなかった。(2)励起ガスに酸素を微量添加(0.25vol%)すると、プラズマ処理したPTFEシート表面には物理的作用による残渣除去が顕著に認められたが、化学的作用による親水性官能基の生成は全く観察されなかった。(3)励起ガスに水素を微量添加(0.25~0.50vol%)すると、プラズマ処理したPTFEシート表面には化学的作用による材料表面の脱フッ素化が認められたが、物理的作用による残渣の除去効果は認められなかった。(4)そこで、酸素を微量添加したプラズマ処理、さらに水素を微量添加したプラズマ処理を連続的に施すことで、PTFEシート表面には残渣除去ならびに脱フッ素効果が得られた。そして、その後に励起ガスによるプラズマ処理を短時間施すだけで親水性官能基の生成密度が高まることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に得られた知見は、実際に大気圧プラズマ処理した後に表面改質された実験試料の表面に対して、表面改質の形状測定(AFM、表面粗さ計、SEM)測定、ならび表面分析(XPS)を行って得られた評価データから、励起ガスに希釈される反応ガスの組成との相関性を議論している。しかしながら、実際の表面改質現象は化学的作用による親水性官能基の生成と物理的作用による除去が合わさっており、その要因を特定するには、実験試料表面の直上近傍に存在する荷電粒子(中性ラジカルやイオン)の種類やガス温度を測定して、化学反応形態や反応速度を類推する必要がある。次年度は、これら評価データを蓄積するとともに、実験条件範囲を広げて議論を深めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験試料表面の直上近傍に存在する荷電粒子(中性ラジカルやイオン)の種類やガス温度を測定して、化学反応形態や反応速度を類推して、大気圧プラズマ処理を用いたPTFEシートの平滑化ならびに親水性官能基の生成をともに満足する処理条件を究明する。そして、我々の既存技術(全く化学的な手法であるSAM膜形成・真空紫外線露光パターニング・銅メッキ被膜のフルアディティブ積層処理)を適用することによって、100ギガヘルツ~テラヘルツ帯オーダーの動作周波数で高速駆動させる際に必要不可欠となるプリント回路基板を開発する。また一方、低コスト化をねらって、反応ガスに窒素系化合ガスを用いて大気圧プラズマ処理を試行して、有機シラン化合物の自己集積化分子膜に相当する機能性成膜(触媒金属の吸着する)を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大気開放型大気圧プラズマ処理装置は装置操作性の良好な反面、プラズマ発生領域に大気成分が浸入するため、表面改質に寄与する実験試料表面の直上近傍に存在する荷電粒子の特定が難しい。そこで、チャンバー型プラズマ処理装置を用いて、大気圧プラズマ内部に発生する荷電粒子に関する基礎的データを取得する。その際に必要となる消耗材料費(励起ガス、反応ガス、実験試料)、治具工具(電極、試料台)等の準備に次年度の研究費を当てる予定である。その後に、大気開放型大気圧プラズマ処理装置を用いた追試を行って処理条件の精査を進めていく。次に、有機シラン化合物の自己集積化分子膜の触媒金属の吸着量向上について検討する。
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Research Products
(3 results)