2011 Fiscal Year Research-status Report
タンデム双ロール法による革新的軽量クラッド材料の開発
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23560892
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡利 久規 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90210971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 敬則 小山工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (80342476)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 塑性加工 / マグネシウム合金 / 温間成形 |
Research Abstract |
(1)150mm幅のクラッド製造のための横型ロールキャスターを製作した.ロール表面にはディンプルをつけることで,表面付近の急速冷却条件を緩和し,健全な板材を製造できるようにロールを改善した.また,クラッド材の製造条件については,ロールの周速度が一定の場合,マグネシウム溶湯の液相線温度の40℃程度上の温度,アルミニウム合金の液相線温度の50℃程度上の温度で製造できることを明らかにした.(2)溶湯を注油する数理モデルを構築した。数理モデルを用いて注湯をフィードフォワード制御するシステムを構築し、開発した注湯系によって,注湯の際に液面変動の少ない安定した注湯系を確立することができた.この成果は,国際会議AMPT2012において発表する予定である.(3)150mm幅のクラッド製造実験を行い,製造された板材の評価を行った.(1)長手方向,幅方向の板厚分布の測定をおこなったところ,板厚のばらつきは5%以内であることを確認した.(2)結晶組織の観察を行い,高アルミ含有マグネシウム合金AZ101、AZ110、AZ120,アルミニウム合金の結晶組織の平均結晶粒径求めたところ,それぞれ38ミクロン,33ミクロン、25ミクロン、55ミクロンであることを明らかにした.(3)クラッド材の引張試験の結果,板材の製造条件によってはマグネシウム,アルミニウムの界面に剥離が発生することが判明した.剥離の対策にについては23年度引き続いて継続して実験を行う予定であるが、健全な接合界面を保証するためには、以下の二点の改善が必要である。(1)ロール間における凝固面の酸化防止(2)ロール間における板材の温度低下の防止
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)クラッドおよび凝固解析については次のような達成度であった.すなわち、(a)タンデムにおいた銅製ロールを使用し,大きな冷却速度(表面で最大3000℃/s)を利用してコアとなる高強度マグネシウム合金を製造し, さらに表面に接合するアルミニウム合金を半凝固状態で接合することが本研究の重要な点である.これらを可能にする最適な製造条件の調査を行い基礎的な製造条件を得たため、本項目は100%の達成度であった.(b)横型双ロールクラッド材の凝固解析については、解析ソフトを使用して各鋳造条件における凝固点を予測する.解析から得られた板材の板厚と実験で得られた凝固厚さを比較することで,熱伝達などの解析条件や境界条件の妥当性を検証した。本項目はすべての製造条件について解析を行い、各条件における凝固点を予測し、実験と比較検証したため、100%の達成度であった。(2)溶湯の注湯制御系および装置温度制御システムの構築鋳造実験を支援する技術として,るつぼから溶湯をタンデシッシュに注湯するための制御系を構築した.その結果、注湯された液面高さを一定にする注湯制御系を構築する.(1)注湯開始から時間とともに変化する凝固層の厚さを計測した.その結果、板材の製造問題なくできたため、達成度は100%であったといえる.(2)しかしながら、各タンディッシュ間の加熱,1段目,2段目の各ロール間での加熱工程が不足していたせいか、条件によっっては材料が界面で剥離する現象が起こった。そのため、今後は、改善の必要性がある.本件に関して達成度は85%であった。以上、総合的に評価して、97%の達成度であったと評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下のような研究の推進方策によって研究を推進していく.すなわち、(1)タンデム双ロールキャスターによって得られたクラッド材の特性評価法の確立、温間圧延したクラッド材料に対して、(1)室温引張特性の調査をおこなう.上記クラッド材各試料に対し,室温下で定速引張試験を行い,鋳造クラッド材の機械的性質を明らかにすることが重要である.(2)微細組織の観察温間圧延前の組織をSEM-EDX, SEM-EBSD, XRD等を用い,(1)で得られた機械的性質と,得られたクラッド材の温間形成能を組織学的見地から検討する.このことによって、健全なクラッド材料の界面でおきる現象を解明することが重要であり、平成24年度はさらに以下の実験を行う予定である.(2)キャスト材の温間圧延実験および塑性加工性の評価、すわち、得られたクラッド材を温間圧延し,塑性加工可能な素材にする.このとき,次の4項目について評価する.(1)圧延パス,リダクションと得られた板材の圧延加工に伴うクラッド界面の分析(2)圧延温度,リダクションによるクラッド材の各層の結晶方位の解析、特に圧延加工に伴う界面近傍での各種元素の濃度分布,化合物相の形成(SEM-EDX),圧延加工に伴う集合組織の発達(SEM-EBSD, XRD),圧延条件下での再結晶挙動(再結晶粒径,第二相の分布状態)に着目し,調査を行う.ここで、(3)得られたクラッド展伸材の温間引張り試験、および熱処理条件と温間加工性の因果関係の解明、(4)温間加工性と圧延パス,リダクションとの因果関係解明(温間深絞り実験),目標限界絞り比2.3、(5)サーボプレスによる最適な成形加工条件の解明(スライドおよびサーボダイクッションのモーション)以上、(1)および(2)の実行により、キャスト材の圧延実験および塑性加工性の評価を行うことが今後、重要になるものと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、以下のような研究費の使用計画を立てている.タンデム双ロールキャスターによって得られたクラッド材の特性評価法の確立および、キャスト材の圧延実験および塑性加工性の評価を行うために、以下のような研究費の計画である。 まず、昨年度の実績により、解析ソフトを使用して各鋳造条件における凝固点を予測することが重要であることが確認できた.このため、解析から得られた板材の板厚と実験で得られた凝固厚さを比較することで,熱伝達などの解析条件や境界条件の妥当性を検証することができる.このような、解析ソフトのライセンス購入のために60万円、また、キャスト材料の圧延実験や組織観察ための消耗品、熱電対、や、エッチング観察のための消耗品等に、20万円、また、各ロール間スタンドにおける温度低下や酸化防止のための装置改良に20万円、が主たる実験に関わる物品の購入するものの概要である. また、そのほかには、これまでの研究成果の発表のための旅費に15万円、次年度の実験の実験補助のための謝金が5万円、と計画している.
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Research Products
(3 results)