2011 Fiscal Year Research-status Report
中間相への元素複合固溶による希土類金属レス軽量合金の開発
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23560893
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松田 健二 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (00209553)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルミニウム合金 |
Research Abstract |
低炭素化社会の実現のためには、次世代自動車用材料として軽量であるアルミニウム合金の使用は必須である。その中で新規の機能性をもつアルミニウム合金の需要は今後増加が予想される。この要望を達成するには、素材段階でナノレベルでの組織制御が必要である。本研究では、申請者のもつアルミニウム合金の整合性ナノ組織制御技術として考案した手法と原理を完成させることにより、希土類金属元素に依存しない新しい機能性アルミニウム合金の開発研究を行うことを目的として、平成23年度は、Al-Mg-Si 合金で析出する中間相である’相の結晶構造を中心に、計算による添加元素の検討を実施した。具体的には、遷移金属元素をクラスターの中心に1つ含むモデルを構築した。これを基として、対象となる中間相化合物の安定性の検討を行った。続いて添加の可能性のある全元素に対してMd-Bo 相関図を作成した。そして得られた結果から、適切な合金を0.2at%を目途に添加した合金を作製し、それらの合金の硬さやミクロ組織といった基礎データを収集した。その結果、微量のFe等の遷移金属元素は、0.1%までの添加で硬さの増加に効果があり、それ以上では逆に低下する現象が現れることが明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想したクラスターモデルの構成、それを用いたBO-Md図の作成が完了した。さら、ここから予想される合金種として、Fe, Mn, Cr, V, Ni, Co, Gd, Yを添加した合金を0.05、0.1そして0.2at%添加した合金を作製できた。これらの150、200、250℃時効での硬さ測定と、結晶粒径、基本的な時効析出組織の観察が完了しており、平成24年度に向けてのこれら試作合金の基礎となるデータベースが完成した。しかし、添加元素以外の構成元素については、添加量のチューニングまでには至らなかったので、おおむね良好と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は新規合金の時効析出挙動の確認と複合添加合金の最適化を目指し、作製した合金に対して熱処理を実施し、各合金に析出する中間相についてHRTEMによる観察と添加元素の存在についての確認を行う。とくに電子顕微鏡観察の結果とシミュレーション結果を比較検討して、添加した元素の占有位置を調査することで、前年度の計算結果の妥当性を検証していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、10数種類の合金からデータを採集してこれらの比較検討を行うことから、HRTEM画像の迅速解析のために、画像解析ソフトを購入して使用する。さらに合金の化学組成をチューニングするため、最有力と判断された合金の試作を行う。
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