2011 Fiscal Year Research-status Report
環境調和型軽合金の鋳造シミュレーションに関する基礎研究
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23560896
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
尾崎 公一 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (20224206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 忠生 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (20423965)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 鋳造 |
Research Abstract |
平成23年度は,数値解析モデルの構築に必要な基礎データを得るため,まず,既存の真空吸引式流動試験装置の金型温度を制御可能なように改造し,アルミニウム合金ADC12の流動長に及ぼす吸引圧力,溶湯過熱度,金型温度,流路厚さの影響を実験的に調査した.また,溶湯と金型との接触角については,凝固後の試験片の金型角部の形状より判定し,約160度との結果を得た.凝固後の試験片と金型表面との接触面積を画像解析により調査し,金型温度が高いほど金型との接触面積割合が高くなることが分かった.さらに,金型の1面を石英ガラスに取り替え,高速度ビデオカメラにより流動様相の観察・記録した.数値解析プログラムは,従来のDA法からMARS法に変更することで,気液界面の解析精度向上を試みた.表面張力は,純アルミニウムの値で代用した.動粘性係数は,森-乙竹型の関数形で評価し,式中に含まれる流動限界固相率をパラメータとして実験との比較を行った.まず,液相率と温度の関係については,熱平衡を仮定した場合と,SCHEILの方法により求めた場合とを比較したところ,両者の解析結果には大きな差は見られなかった.次いで,実験結果と解析結果の比較を試みたところ,現時点での解析モデルでは,全ての条件に関する実験結果を単一のパラメータの組で説明することはできなかった.これは,実験結果では溶湯と金型との接触面積割合が条件により変化することが確認されているが,本解析モデルにはそのような効果が陽に組み込まれていないためと考えられ,今後,モデルを拡張する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験については,装置の改造が完了し,順調にデータを収録できるようになった.また,高速度ビデオを高解像度のものに更新し,以前よりも詳しく流動状況を観察できるようになったことから,順調に進展している.一方,数値解析については,解析プログラムの改良を終え,安定に数値解が得られる状況になったが,実験結果との一致が十分ではない.当初から想定していたことではあるが,溶湯と金型との接触状況を実験的に解明し,これを数値解析モデルに組み込む必要がある.以上のことから,全体的には概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,実験については,ADC12合金のデータを継続して収録する.特に,金型温度に伴い,金型表面と溶湯の接触面積が変化することについて詳細に検討を行う.この現象は,現時点では,凝固後の試験片で確認しているが,どの段階で表面に凹凸が生じるのかを高速度ビデオにより観察する予定である.また,ADC12合金について一通りの実験が完了すれば,他の合金(AC4CHおよびAC7Aを予定)についても実験を行い,ADC12との差やその理由について検討する予定である.計算については,上記の実験結果に基づいて,計算モデルの改良を行う.そして,全実験条件について解析を行うと共に,解析モデル中に含まれるモデル定数の決定を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では,モデル定数のフィッティングが必要であり,非常に多くの条件について数値解析を実行する必要がある.このため,最新の高性能CPUが搭載された計算用ワークステーションを購入する予定である.実験用の消耗品としては,可視化実験用の石英ガラス,熱電対,アルゴンガス等を購入の予定である.また,調査研究および成果発表のために旅費を使う予定である.
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