2012 Fiscal Year Research-status Report
環境調和型軽合金の鋳造シミュレーションに関する基礎研究
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23560896
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
尾崎 公一 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (20224206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 忠生 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (20423965)
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Keywords | 鋳造 |
Research Abstract |
平成24年度は,まず,マグネシウム合金の流動長に関して,実験結果と数値解析結果との比較を試みた.マグネシウム合金流動長実験金型には,曲面の境界壁が存在するため,その部分での数値解析精度を向上させるために,既存の数値解析プログラムに改良を加え,FAVOR法に対応可能とした.マグネシウム合金の流入温度610℃,金型温度150℃一定の条件で,流路肉厚0.3mm,0.5mm,0.7mmに対して,ゲート流速を3種類に変化させて実験と解析との比較を行った.数値解析に用いる物性値としては,液相率と温度の関係は熱平衡を仮定し,粘性係数の固相率依存性は森-乙竹型の関数形で評価した.金型表面と溶湯との間に熱抵抗を仮定し,その値を種々変化させたところ,熱抵抗値が約70μKm^2/Wのとき,流動長の計算値と実験値が比較的良く一致した. 次いで,アルミニウム合金ADC12の真空吸引試験に関しても,同様の方法で数値解析を行い,実験結果と比較したところ,流路肉厚0.9mmについては,熱抵抗値が約80μKm^2/Wのとき,流動長の計算値と実験値が比較的良く一致し,マグネシウム合金とほぼ同じ熱抵抗値で良好な結果が得られた.しかしながら,流路肉厚2.4mmに関しては,熱抵抗値を0としても,流動長の計算結果は実験結果に比べて大きくなった.今後は,この差の原因について検討し,対策を施す必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に関しては,以前は高速度ビデオのカメラヘッドが1つであったことから,流動停止位置に限定した観察しか行えなかったが,カメラヘッドを増設したことにより,広範囲な領域を同時に撮影することが可能となり,吸引開始から流動停止までの一連の状況を分析できるようになり,順調に進展している.また,数値解析については,FAVOR法に対応すべく解析コードの修正を行い,発散せずに安定に数値解が得られる状況になった.この点に関しては,順調に進展しているが,流動長に関する数値解析結果と実験結果との一致が十分ではなく,特に,溶湯から金型への伝熱モデルに関しては改良の余地が残されている.以上のことから,全体的には概ね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
実験については,アルミニウム合金の流動長に関するデータを継続して収録する.また,今までの吸引試験により得た試験片の観察を行い,特に,流動長に及ぼす流路肉厚の影響が数値解析結果と一致しない原因について考察する. 数値解析については,上記の実験結果に基づいて,計算モデルの改良を行う.そして,全実験条件について解析を行うと共に,解析モデル中に含まれるモデル定数の決定を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用の消耗品としては,可視化実験用の石英ガラス,熱電対,アルゴンガス等を購入の予定である.また,調査研究および成果発表のために旅費を使う予定である.
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