2011 Fiscal Year Research-status Report
ソノ凝固プロセスによるヘテロ構造二相アルミニウム合金の開発
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23560898
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
恒川 好樹 豊田工業大学, 工学部, 特任教授 (50148350)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 金属生産学 / ソノ凝固 / ヘテロ構造 / キャビテーション / 微細初晶シリコン / 非平衡α-Al |
Research Abstract |
(1)過共晶Al-17wt%Si合金を用いるソノ凝固 溶湯温度,処理時間,冷却速度を変化させて超音波溶湯処理を行い,処理後急冷したミクロ組織の観察を行った:(a)超音波溶湯処理を行う溶湯の温度は,高温であるほど注湯に到るまでの時間的余裕が確保できる.しかしながら,ソノ凝固効果は高温で超音波溶湯処理を行うほど弱くなる.初晶Siの微細化は液相線温度からの加振が効果的で,非平衡α-Alの晶出は共晶温度での加振が効果的である.(b)超音波溶湯処理中の溶湯温度の低下は加振によるエネルギー投入によって小さくなり,ソノ凝固効果を高める.(c)超音波溶湯処理時間は実験室規模の処理では,60秒程度以上が必要であり,処理時間の確保は困難ではない.(2)超音波溶湯処理した溶湯を用いる形状付与プロセス 20トン加圧の低速ダイカストマシンを設計・製作した.(a)半溶融鋳造用のビレットを超音波溶湯処理によって準備し,初晶Siの微細化と非平衡α-Alの晶出を確認した後,高周波誘導加熱して低速ダイカストマシンによって形状付与した.ビレット中の鋳巣を除去できず,高強度・高延性Al-Si合金部材には到っていない.(b)半凝固鋳造用低速ダイカストマシン用にも利用して形状付与を行った,プロセスパラメータの最適化には到っておらず,鋳造欠陥が生じる問題が在る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ソノ凝固によって,過共晶Al-17wt%Si合金への初晶Siの微細化を実現するとともに,初晶Siの晶出量を液相線温度の高いAl-21wt%Si合金(溶解エネルギーが大量に必要)並まで高められることを確認した.また,共晶温度付近での超音波加振はその加振時間にほぼ比例して非平衡α-Al相の晶出量を増加させることを確認した.(2)形状付与ダイカストマシンを完成させた.このダイカストマシンは20トン加圧力で加圧速度可変,スリーブ予熱温度300℃,キャビティ予熱温度200℃が可能である.半溶融鋳造,半凝固鋳造ともプロセスパラメータの合わせ込みが課題として残っている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きソノ凝固プロセスの要素技術確立を図るとともに,平成23年度に得られた研究成果に基づいて,ソノ凝固プロセスとして体系化し,ヘテロ構造二相Al合金の材料特性を明らかにする.(1)過共晶Al-17wt%Si合金の超音波溶湯処理(a)超音波溶湯処理のソノ凝固効果が表れる限界条件を見極める.(b)超音波溶湯処理合金のミクロ組織を定量評価する.(c)ソノ凝固プロセスによって試験片を鋳造する.(d)20wt%Si合金とソノ凝固17wt%Si合金の機械的性質を比較する.(2)不純物(Fe)含有量の高いAl-17wt%Si-x%Fe合金の超音波溶湯処理(a)ソノ凝固効果の限界条件を把握し,ミクロ組織を定量評価する.特に,Fe含有量(x=0~2wt%)におけるFe化合物の微細粒状化に着目する(b)Al-17wt%Si-x%Fe合金のソノ凝固プロセス→鋳造性に及ぼすFeの効果を明らかにする.(c)非平衡α-Al,初晶SiおよびFe化合物の寸法・形状・量と機械的性質の関係把握標準の油潤滑摩擦摩耗試験を行う.(3)形状付与プロセスのプロセスパラメータを最適化し,ヘテロ構造二相Al-Si-Fe合金に関する本研究を総括する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
形状付与20トン低速ダイカストマシンの予熱系を含むキャビティ金型の製作,および圧力測定系の設置,引張試験片・摩擦摩耗試験片の機械加工費,成果発表への出張旅費および論文別刷代などに使用する計画である.
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