2013 Fiscal Year Annual Research Report
小型モーター高性能化のための超微細粒非磁性高強度オーステナイトステンレス線の開発
Project/Area Number |
23560899
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
鳥塚 史郎 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60354271)
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Keywords | SUS304 / 準安定オーステナイト / 結晶粒微細化 / 温間加工 / 高降伏点 |
Research Abstract |
準安定オーステナイトであるSUS304鋼は降伏点が低いことがしばしば問題とされる。この降伏点を高くする簡単な方法は冷間加工である。しかし、冷間加工を加えた場合、加工誘起マルテンサイト変態が生じ、磁性を持つようになってしまう。これはマルテンサイトは強磁性体のフェライトで磁性を有するからである。一方、オーステナイトがより安定な方向である温間加工は、加工誘起マルテンサイトの生成を抑制する可能性がある。同時に、温間加工域における強加工によって、結晶粒の微細化が可能であり、非磁性を維持したまま高降伏点を実現できる可能性がある。本研究では、温間加工および結晶粒超微細化によって、SUS304鋼で非磁性・高降伏点ステンレス線の開発可能性を検討した。 平成23-25年度の3年間の研究を通じて、温間加工によってマルテンサイト変態が抑制された状態で、高降伏点化できることを明らかにした。500℃で圧延を行った材料の透磁率は1.015であり、ほほ非磁性といえた。また、結晶組織も極めて微細であった。また、非磁性・高降伏点長尺線材の作製を試みた。圧延方法は、我々が開発した連続温間圧延機を用いて、本線材は、初期直径6mmから約直径3mmまで圧延された。磁石に着くことがなく非磁性であった。引張試験を行ったところ、S=1020MPa, 全伸び18%、絞り74%を得た。この結果、通常のSUS304鋼の3倍の降伏強さを得たことになる。線材レベルでの非磁性高降伏点化に到達できた。以上のことより、温間強加工によって、非磁性・高降伏点SUS304オーステナイト線材開発の可能性を明らかにした。 モータ用のシャフトとするため、本材料に冷間伸線を行い、1.5mm縮径したが、その過程でのマルテンサイトの発生状況を検討してきた。その結果、微細な結晶粒にした場合、粗大粒の場合よりも、マルテンサイト変態が抑制されることをみいだした。
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