2011 Fiscal Year Research-status Report
電解透析法及び電気透析法を応用した新規レアメタル分離システムの構築
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23560901
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 博 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70197169)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 電気透析 / 金属置換反応 / 反応分離 / 電解透析 / 化学工学 / Sr / Cd / イオン交換 |
Research Abstract |
精錬工場あるいは工場の跡地等は,金属含有物の飛散により土壌が汚染される場合があることから,土中から金属イオンを除去するためにEDTAを利用した化学洗浄処理が行われている。しかし,洗浄後には大量の重金属を含むEDTA水溶液が生成することから,EDTAに配位した金属とEDTAを分離し,金属の回収さらにはEDTAの再生を行い,処理工程全般のクローズド化を行うことが望まれる。23年度は,前記洗浄処理工程のクローズド化を目的としたシステムの検討を行う中で,EDTA錯体からの金属の分離を行うプロセスの開発を目的として,銅イオンとEDTA錯体との金属置換反応を利用した電気透析法により金属の回収を行い,分離特性に与える操作条件の検討を行ったものである。 研究では,はじめにEDTA-Zn, EDTA-Cdの混合水溶液を用いて金属置換反応を伴う電気透析法によりZnとCdの分離挙動を明らかにした。実験は,5室から成る回分循環型電気透析槽を用い,中央に設置した両側を陽イオン交換膜で仕切られた室にEDTACd, EDTA-Zn水溶液を流し,他室から銅イオンを透過させることで金属置換反応によりCd, Znを生成させるとともに,さらに生成した一部の金属イオンをに陽イオン交換膜を介した室に透過させることで分離を行った。その結果,EDTA-Cd, EDTA-Zn錯体混合溶液を用いた場合には,CuとEDTA金属錯体との金属置換反応は比較的迅速に進行し,CdとZnが時間の経過と共にEDTAから分離回収されることが明らかとなった。 次に,土壌洗浄における潜在的な需要を考慮し,本手法をSrを含む土壌を洗浄した際に生成するEDTA-Srに着目し,EDTA-Sr水溶液からのSrの分離に応用した。その結果,EDTA-Sr系においても金属置換反応は比較的迅速に進行し,EDTAからSrが分離されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は本研究における中核となる電気透析リアクターの設計,製作と,同装置を用いて金属錯体水溶液からの金属の回収を行い実験データの蓄積に努めることが達成目標であった。実際には,リアクターの設計,操作法の確立等が完了するとともに,EDTA-Cd, EDTA-Zn, EDTA-Srに関してEDTAから各金属種を分離・回収できることを明らかにし,これにより提案した手法の有効性が確認された。 また,24年度の研究計画の中核となる電解透析に関する基礎的な実験についても一部着手し始め,土壌洗浄処理におけるEDTAのクローズド化の見通しがより明らかとなってきた。 よって,研究全体における達成目標の実現化に関する方向性がより具体的になったことから,事業年度全体から見た場合の達成度についてもおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の研究結果を基に以下の点につき研究を遂行する予定である。1)複数の金属錯体を含む水溶液からの金属イオンの回収2)電解透析法によるEDTA-Cu錯体からのCuとEDTAの再生3)バイポーラ膜,イオン交換膜併用型電解透析装置の設計 1),2)については銅との金属置換反応を伴う電気透析法により引き続き検討を進め,分離特性にあたえる操作条件の影響について検討を行う。3)については,銅との金属置換反応操作後に生じるEDTA-Cu錯体からのCuとEDTAの再生を行うために,あらたに電解透析装置の設計を行い,再生操作の効率化について検討を始める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に主要な設備である分析設備の整備が完了したため,今年度は主に実験装置製作部材,実験試薬,分析試薬等の物品費に予算を充当する予定である。
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Research Products
(1 results)