2012 Fiscal Year Research-status Report
電解透析法及び電気透析法を応用した新規レアメタル分離システムの構築
Project/Area Number |
23560901
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 博 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70197169)
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Keywords | 電気透析 / イオン交換 / バイポーラー電極 / 金属置換反応 / EDTA / Cu / Sr |
Research Abstract |
土壌洗浄処理で生じるEDTA金属錯体水溶液から,金属およびEDTAを回収して再利用する事を目的とし,今年度は銅との金属置換反応を伴う電気透析法および電気化学反応を伴う電気透析法からなるシステムの開発に重点を置いて研究の遂行に努めた。 金属置換反応を伴う電気透析法に関しては,対象金属をSrを含む溶液に対象を広げ,EDTA-SrからのSrの回収,さらにはEDTA-Zn, EDTA-Cd等を含むEDTA-Sr水溶液からのZn, Cd, Srの分離に及ぼす操作条件の影響について検討を行った。その結果,EDTA-SrとCuとの金属置換反応は比較的迅速に進行し,幅広いpHのレンジにおいても良好に分離・回収できることが明らかとなり,Srを含む土壌の洗浄を想定した系についても本手法の有効性が示された。 次に,生成したEDTA-CuからCuとEDTAを再生することを目的として,はじめに電気化学反応を伴う撹拌槽型回分電気透析槽を用いて実験を行い,分離特性に及ぼす操作条件の影響について検討を行った。その結果,同装置によるEDTA-CuからのEDTAとCuの分離,再生は幅広い条件の下でも良好に進行することが明らかとなった。さらに,これらの結果を基に,本手法のスケールアップを目指し,流通型反応器の設計を行い,はじめに,分離特性に及ぼす流速等の操作条件の影響について検討を行うとともに,スケールアップに関する基本的特性の把握に努めた。 次に,これらの実験結果を基に,処理量の増大を目的とした装置構成の検討を行い,バイポーラー電極を用いる多室型の電気透析槽を設計するとともに分離特性の評価を行った。なお,これらの実験で新たに考案した装置,成果等については,平成24年度に新規の特許出願を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)金属置換反応を伴う電気透析法によりEDTA-Sr,EDTA-Cdを含む水溶液を処理することで,Sr,Cdの分離も良好に進行することが明らかとなったこと 2)電気化学反応を伴う電気透析法によるEDTA-CuからのEDTAとCuの分離が良好に進行する操作条件が明らかとなったこと 3)2)の手法のスケールアップを目指し,バイポーラー電極を有する新しい手法の開発に成功したこと 4)EDTA-Sr, EDTA-Cdを含む水溶液を1)の手法で処理し,Sr,とCdを分離回収した後に2)の処理を行い,EDTAとCuをそれぞれ分離・再生できることを明らかにしたこと
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Strategy for Future Research Activity |
1)電気化学反応を伴う電気透析槽のスケールアップ バイポーラー電極周りの仕様を見直し,電流損,液漏れが生じにくいスタックの設計を行うとともに,さらなる多室化を行いベンチスケール程度の装置の開発を目指す。特に,基本セルの流路構造についても今一度詳細に検討を行う。 2)金属置換反応を伴う電気透析法と電気化学反応を伴う電気透析法のスタック化に関する検討 2種類の電気透析槽をスタック化する際の流路構成他技術的要件の検討を行う。 3)EDTA以外の錯化剤を用いた系における実験 EDTA以外にDTPA, NTA等の錯化剤を用いた系についても実験的な検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に流通系反応器の設計,製作にかかる部材,ポンプ,さらにはイオン交換膜,実験試薬等の消耗品の購入に当てる。
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Research Products
(4 results)